
ファッションビルや百貨店系ブランド、セレクトショップの2024年春夏の打ち出しがおおむね出そろった。昨今のシーズンレスの流れから、23年春夏〜秋冬に大ヒットしたカーゴパンツやシアー素材のアイテム、ボタンダウンシャツやジーンズといった定番商品の存在感がより強まっている。商品軸ではシーズンをけん引するような新味が見当たらない中、着こなしで新鮮に見せる“スタイリング力”が特に問われるシーズンになる。本ページでは、展示会取材で見えた24年春夏の5つのキーワードを紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2023年12月18日号からの抜粋です)
ライト&シアー
チュールやオーガンジー、ハイゲージニットなどのシアーアイテムの勢いは2024年春夏も継続している。透け感ブラウスやスカートといったよくある提案だけでなく、24年春夏はアウターやフーディーなどにも透け素材が広がっているのが注目ポイント。透け素材から肌を見せる着こなしが従来の主流だが、意外性のあるレイヤードで下に着た服を透けさせる提案が新しく、店頭でも提案のしがいがありそうだ。
定番の再解釈
「長く着続けられるものを買いたい」という意識が年々強まる中、ボタンダウンシャツ、トレンチコート、アンサンブルニットなどのワードローブの定番に改めて光が当たっている。ただし、定番をそのまま提案してもなかなか客の心は躍らず、ベーシックSPAとも差別化できない。シルエットバランスや素材を変えるなどのひとひねりや、裾を結わえる、色合わせに変化を出すなどの“スタイリング力”が問われている。
デニム&カーゴ
定番の再強化の流れもあって、ここ数年続いているデニムの流れがさらに拡大。ジーンズだけでなく、アウターやドレスなど、デニムアイテムのバリエーションを広げて各社変化を持たせている。2023年春夏に火がつき、今秋冬も大ヒット中のカーゴパンツは、今の売れ筋であるスポーティーなシャカシャカ素材に加えて、エレガントなスタイリングも浸透しそうだ。カーゴデザインのスカートも増えている。
スポーツミックス
昨夏の野外フェスで頻繁に見かけたサッカーユニフォームやトラックスーツ(ジャージ)を取り入れた着こなしが、今夏はより幅広い層へと拡大しそうだ。スポーツアイテムにガーリーなフリルトップスやギャザースカートを合わせて、“ブロケットコア”と呼ばれるミックススタイルで見せるのが主流。ポロシャツも男女問わず広がっている。今夏はパリ五輪もあり、スポーツ系ファッションの盛り上がりが期待できる。
スーパーレイヤード
定番アイテムをいかに新鮮に見せるかという視点や、シアーアイテムの広がりによって、レイヤード提案がさらにパワフルになっている。ビスチェやブラトップが増加し、肌寒い時期はニットと、暑くなればタンクトップとの組み合わせで打ち出す。ラインストーンを使った、アクセサリー感覚のビスチェも。ジャケットやコートの上からシアー素材のシャツやフーディーをかぶせるといった、難易度高めのレイヤード提案も拡大。