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美容ジャーナリスト齋藤薫のビューティ業界へのオピニオン  見て見ないふりをされてきた「閉経」後の世代が、一気に主役になる日

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「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へのオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は「WWDJAPAN」2023年12月25日号からの抜粋です)

ほんの数年前、ある媒体で「閉経」という言葉を使ったら、「できればもう少しぼかしてほしい」と言われた。抵抗や不快感を感じる読者がいまだ少なくないからと。確かに、10年ほど前までは、“閉経するともう女でなくなる”的な思い込みが存在した。だから、言葉としてタブー視され、口にするのはもちろん、活字にするのもはばかられた時代がとても長かったのである。しかし、今や皆、閉経しても信じられないほど若く、現役感に溢れてる。いやほぼ全員そう。50代の若さが“女でなくなる”は全く幻想だったことを証明してしまった。だから改めて思う。「閉経」の一体何が悪いのか? だいたいが今、日本女性の半分は50歳を超えている。半数以上が閉経しているということ。躊躇してる場合じゃないはずなのだ。

にもかかわらずビューティの世界はいまだに「閉経」のワードに抵抗感を持っている。良くも悪くも“きれいごと”が優先し、少し前まで50代、60代というワードすら見かけなかった。そう、「更年期」の言葉も昨今やっと市民権を得たところ。本当のエイジングケアは更年期から始まると考えるべきで、むしろこの世代が主役になってもいい市場なのに、「更年期」さえ長い間伏せられてきたのだ。

ちなみに、団塊の世代が50代になるのを踏まえ1997年に50代をメインターゲットとしたブランド「アクティアハート」が資生堂からデビューしており、いわゆるホットフラッシュを意識した、ほてりを鎮める粉末入りの2層タイプの収れん化粧水や手の甲のシワやくすみにも対応する商品などユニークなラインアップを見せたのに、これが残念ながら成功を見なかった。単純に、早すぎたのである。モデルも社会で活躍している当時のアラフィフの女性を起用、年齢を重ねてなお輝く女性たちを応援するスタンス。もしこれが今のタイミング、つまり、奇しくも“団塊ジュニア”が更年期に入った今なら大成功したはずなのだが。

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