ビューティ賢者が
最新の業界ニュースを斬る
ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、ソーシャルグッドな仕組みをビジネスとして整えた企業の話。
矢野貴久子「BeautyTech.jp」編集長 プロフィール
雑誌編集者を経て1999年からデジタルメディアに関わり2017年、アイスタイルで媒体開発に着手。18年2月に美容業界のイノベーションを扱うメディア「BeautyTech.jp」の編集長に就任
【賢者が選んだ注目ニュース】
企業はどれだけ人や地球環境に寄り添えるのか。さまざまな社会課題の解決のために意志を持って行動するNPOや一般社団法人だけでなく、最近は起業家も、そして資金を出す投資家も、「そのビジネスは、社会のどのような課題を解決するのか」という視点を強く持つようになってきた。
加えて最近は、規模の大きな社会課題を解決するためのビジネスが増えている。ユーザーが喜んでお金を払って価値を受け取り、社会課題を解決するための循環が続く仕組みを構築する器は、NPOでも一般社団法人でも株式会社などでもよいわけだが、寄付を財源とするのでは続けにくい。仕組み化=ビジネス化が必要なのだ。
日本では、2005年から共済型の病児保育を手がけて22年時点で病児保育件数が累計10万件を超えた認定NPO法人フローレンスや、障がいのある人たちのアートなどをビジネスとして流通させてJALや丸井グループなどの大企業がクライアントになっているヘラルボニーなどの事例が思い浮かぶだろう。
海外の事例で目を引くのが、米国の「スカイ ハイ ファーム ユニバース(SKY HIGH FARM UNIVERSE)」だ。栄養価の高い食事ができないコミュニティーを支援するための農場経営を非営利団体が行い、それを支えるために営利団体を立ち上げてサステナブルなアパレルブランドを手掛けるというユニークなアイデアで、「スカイ ハイ ファーム ユニバース」はブランド名だ。「購買者が寄付者である」という、商品が売れ続ける限り循環するビジネスモデルの構築を試みており、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などの有名ブランドも手を組むという仕組みを作った。ブランディングも含めてすばらしい。
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