伊ブランド「トラサルディ(TRUSSARDI)」がミロリオグループ(MIROGLIO GROUP)に売却される可能性が浮上している。業界筋は3月7日、経営難に陥った「トラサルディ」の買収に関して、ミロリオとの本格的な交渉が始まる公算が高いと明かした。
ミロリオは公式にコメントしていないものの、この業界筋によれば、同グループは買収に関心を示しており、「トラサルディ」の再建プランの策定に最も真剣に取り組んでいる企業だという。著名なクリエイティブ・ディレクターを起用したり、大々的なショーを開催したりするような手法ではなく、フレグランスなどの特定のカテゴリーに注力してブランド価値を高めるのではないかと話す。
ミロリオは1947年、イタリアのアルバでジュゼッペ・ミロリオ(Giuseppe Miroglio)が創業したアパレル企業。「エレナ ミロ(ELENA MIRO)」や「キャラクテレ(Caractere)」など9ブランドを手掛ける。イタリア中に販売網を有し、4つの生産工場と1100のブランドストアを抱えている。
「トラサルディ」は創業以来長らくファミリー・ビジネスを継続してきたものの、19年に投資会社クアトロアール(QUATTROR)に株式の60%を売却。同社による再建が期待されたが、負債は総額約7000万ユーロ(約112億円)に上り、23年には事業の再建計画を金融機関に提出していたという。また同年3月には、セバスチャン・スール(Sebastian Suhl)最高経営責任者(CEO)や、21年からクリエイティブ・ディレクターを務めた「ゲーエムベーハー(GMBH)」のセルハト・イシック(Sehat Isik)とベンジャミン・アレクサンダー・ヒュズビー(Benjamin A. Huseby)が退任した。
同ブランドは1911年、イタリア・ベルガモで高級手袋メーカーとしてダンテ・トラサルディ(Dante Trussardi)が設立したブランド。グレイハウンドのロゴで知られ、ウィメンズとメンズのほか、香水やホームグッズ、子ども服などのライセンスビジネスを手掛ける。過去にはウミット・ベナン(Umit Benan)やミラン・ヴィクミロビッチ(Milan Vukmirovic)らがデザインを担当してミラノ・ファッション・ウイークに参加した時期もあった。
日本では17年にトラサルディが40%、八木通商が60%出資で日本法人を設立した。八木通商は18年から同ブランドの輸入販売を手掛けていたが、現在は取り扱っていない。