LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は18日、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)の相談役として、シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)LVMHファッショングループ会長兼CEOを任命した。後任には、マイケル・バーク(Michael Burke)LVMH会長顧問を任命。いずれも2月1日付で就任する。
トレダノ新相談役は、理工学系の難関校エコール・サントラル・パリ(Ecole Centrale Paris)を卒業後、マーケティング・コンサルタントとしてキャリアをスタート。1984年にランセル(LANCEL)のマネージング・ディレクターとなったことを機に、レザーグッズ事業の面白さに開眼したという。94年には、レザーグッズ部門のディレクターとしてクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)に入社。98年に同社の会長兼CEOに就任した後、アルノー一族の持株会社クリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)のバイス・プレジデントや、マネージング・ディレクター兼取締役にも就任。2018年2月に現職に着任し、「セリーヌ(CELINE)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「ロエベ(LOEWE)」「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」「ケンゾー(KENZO)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「パトゥ(PATOU)」などのブランドを統括。23年4月には、新たな役職に就くことが発表されていた。なお、今回の人事に伴い、トレダノ新相談役はLVMHの執行委員会を離れる。
バーク新LVMHファッショングループ会長兼CEOは、フランスの名門ビジネススクールとして知られるEDHEC経営大学院(EDHEC Business School)を卒業。アルノー一族の持株会社グループ アルノー(GROUPE ARNAULT)に入社後、1980年代半ばから2010年代にかけて「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「ブルガリ(BVLGARI)」とLVMHが擁するブランドの要職を歴任。13年から23年1月までルイ・ヴィトンの会長兼CEOを務め、同年2月から現職。21年には、ティファニー(TIFFANY & CO.)の取締役会の非業務執行会長にも就任している。なお、バーク新LVMHファッショングループ会長兼CEOは今後より幅広い業務を手掛けることが期待されており、「フェンディ」もLVMHファッショングループに含まれる予定だという。また、12月に退任した「ジバンシィ」のマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)前クリエイティブ・ディレクターの後任を探すことも、優先順位の高い業務の1つと見られている。
LVMHではここ数年、人事シャッフルが続いている。22年には、当時クリスチャン ディオールSEのトップだったトレダノCEOが退任したことを受け、アントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMH ヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージが後任としてCEO兼副会長に就任。23年2月には、バーク=ルイ・ヴィトン会長兼CEO(当時)の退任に伴い、後任にピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEO(当時)が就任。その後任には、デルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデント(当時)が就任した。また、24年1月1日には、LVMHウオッチ部門のCEOにフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)=タグ・ホイヤー(TAG HEUER)CEO(当時)が就任している。なお、デルフィーヌはアルノーLVMH会長兼CEOの長女、アントワンは長男、フレデリックは三男。