新興デジタル・ファッション・プラットフォームの「サイキー(SYKY)」は、初代アーティスティック・ディレクターにニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)が就任したことを発表した。「サイキー」とラグジュアリーブランドのパートナーシップを築くだけでなく、新たな才能を発掘・育成し、フィジカルイベントのディレクションも行うほか、ファッション業界とテック業界の橋渡しを担うアンバサダーのような役割も期待されているという。
アリス・デラハント(Alice Delahunt)「サイキー」創業者兼最高経営責任者(CEO)はニコラの起用について、「未来のブランドを築き上げる新しいクリエイティブ層が現れると信じており、既存のブランドはこの現実に対応するために進化し、製品や経験を構築する必要が出てくる。ニコラはこの考えに同意しているだけでなく、ブランドとテクノロジーが融合した革新的で創造的な仕事の先駆者としての豊富な経験を持っていた」と説明。またニコラも、「天国のような出会いだった。常にファッションシーンの最先端に身を置く中で、数年前に『ウェブ3.0(web3.0)』を知り、これこそが本当に興味のあることだと思っていた。そして昨年、『サイキー』と出合い、未来のビジョンを共有することができた」と振り返る。
デラハントCEOは、「オンラインゲーム『フォートナイト(FORTNITE)』のアパレル収益は、多くのブランドの収益を上回っている。また、昨年の『ティファニー(TIFFANY & CO.)』とNFTプロジェクト“クリプトパンクス(CryptoPunks)”のコラボは、デジタルカルチャーとファッション業界のさらなる繋がりを感じさせ、わずか数分の間に約1300万ドル(約19億2000万円)を売り上げた」と説明した。
職人技と目に見えるディテールに根ざした世界であるファッション業界にとって、デジタル・ファッションの分野は未知の領域でチャレンジングなことかもしれないが、「サイキー」やニコラのような人々にとってはエキサイティングな機会だろう。「デジタルの世界にラグジュアリーな感覚を広めたい」と、フォルミケッティ新アーティスティック・ディレクターは語った。
デラハントCEOは、「バーバリー(BURBERRY)」と「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」でチーフ・デジタル・オフィサーを務めたのち、2022年に「サイキー」を創業。アレクシス・オハニアン(Alexis Ohanian)ら投資家から1050万ドル(約15億5000万円)の資金調達を行い、会員制のNFTを立ち上げた。