H&Mへネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)は1月26日、スペインにある「H&M」133店舗のうち28店舗を閉じ、およそ590人の従業員を解雇する計画を示した。現地の労働組合である「スペイン労働者委員会(COMISIONES OBERAS)」と「労働総同盟(UNION GERERAL DE TRABAJADORES)」が、ロイター通信(REUTERS)に伝えたことで明らかとなった。
同社は声明文を発表し、適切なエリアに出店することや、競争力を保つことは最優先事項の1つであり、販売網を「常に見直している」ことを強調。「既存店舗での購買体験を向上させ、積極的に新規出店の機会を求めるほか、必要であれば十分な情報を得た上で店を閉める決断を下すこともある」としている。
H&Mは、2022年11月にも1500人規模の人員削減を発表。その際、ヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)最高経営責任者(CEO)は、「我々が開始したコストと効率化プログラムには、組織の見直しが含まれており、従業員がその影響を受けることは重々承知している。我々は、同僚が次のステップに進むために必要な支援をする」と述べている。
なお、H&Mの23年9〜11月期の売上高は、速報値で前年同期比0.3%増の626億スウェーデンクローナ(約8764億円)とほぼ横ばいだったが、現地通貨ベースでは同4%減だった。
労働組合は、スペインの「H&M」が、欠勤や過重労働などの問題に直面していたとしつつも、今回の解雇について「あまりに強引であり、解雇以外の方策を検討することは可能である」と指摘した。加えて、H&Mは昨年6月、不満を抱いた同国の従業員らによるストライキを受け、店舗スタッフに1000ユーロ(約16万円)の追加賃金を14ヵ月にわたって支払うことと、今後2年間、販売実績に連動したボーナスを毎月追加で支払うことで合意していたため、労働組合は今回の一斉閉店と大規模解雇について驚きを示している。