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“土着化”を加速する「無印良品」 宿泊から“滞在”までプロデュース

良品計画はこのほど、宿泊・滞在の新事業プロジェクト「ムジステイ(MUJI STAY)を発表した。同社が手掛ける宿泊施設を核に、その地域ならではの体験をプロデュースし、活性化に寄与。地域住民・社会の発展と自社の利益創出が循環を生み出すビジネスモデルを作る。

同社は近年、店舗においても地域との結びつきを強め、その土地に根差した商品・サービスを提供する“土着化”を進めてきた。事例の一つが2020年にオープンした新潟・直江津店だ。売り場総面積は約5800平方メートルと世界最大規模で、店内には農産物の直売所や地元食材を使った食堂、学びや遊びのコミュニティースペースを設け、行政と共同したイベントなども実施している。マイクロバスを使用した移動販売など、生活者に寄り添うサービスにも取り組んできた。

何度も来る、長く過ごす場を設計

「ムジステイ」では小売業の枠を超えて、宿泊、仕事や文化の体験、観光客と現地住民の交流といった「地域体験価値のリデザイン」(ソーシャルグッド事業部 執行役員の長田英知氏)に踏み込む。

モデルケースとなるのは、千葉の山間地である老川〜鴨川エリアだ。同社は2019年から、古民家改装型の地域文化の体験拠点「ムジベース(MUJI BASE)鴨川」を運営している。23年には一般客向けの民泊営業も始めた。さらに今年10月には、廃校を活用した「ムジベース老川」の開業を予定する。宿泊機能だけでなく、地域物産品の販売やコワーキング&イートインスペース、施設中央には大きな中庭を設け、地域住民と観光客が交わるハブにする。

鴨川は里山で過ごす楽しみや食・農の魅力を提供する場、老川は地域に開かれたパブリックな空間で創造性を刺激する場と位置付ける。観光客が両拠点を行き来し、食や歴史、仕事などの土着文化を深く学ぶことで、地域の魅力を深く体感してもらう。「一時的に体験する“非日常”ではなく、何度も来る、長く過ごすことでより深く楽しめる“コミュニティー型の宿泊滞在”を通じて、地域の保全・発展に貢献していきたい」と長田氏。

既存のホテルや旅館の個室改修などを手掛ける新事業「ムジルーム(MUJI ROOM)」も発表した。東京・銀座や中国・北京など運営する「ムジホテル(MUJI HOTEL)」、群馬・嬬恋や新潟・南津南などで運営するキャンプ場「ムジキャンプ(MUJI CAMP)とともに、「ムジステイ」プロジェクトの傘の下で運営。5〜10年でプロジェクトを収益の柱に育てていく考えだ。

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