ビューティ市場が飽和する中、投資家はウエルネス業界に大きな関心を寄せている。特に注目するのはサプリメントとウィメンズヘルスだ。ユニリーバ(UNILEVER)は2022年、米国の高級育毛サプリメントブランド「ニュートラフォル(NUTRAFOL)」の過半数株式を取得した。米「WWD」によると、同ブランドの推定評価額は10億ドル(約1540億円)。今年1月には投資会社のコンパス ダイバーシファイド(COMPASS DIVERSIFIED)が植物由来の米フェミニンケアブランド「ザ ハニー ポット カンパニー(THE HONEY POT CO.)」を3億8000万ドル(約585億2000万円)で買収し、投資家らはこれに続くウエルネス分野の出資先を探している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月29日号からの抜粋です)
複数のサプリメントブランドに出資する大手投資会社VMGパートナー(VMG PARTNERS)のエリサ・ベッカー(Eliza Becker)=バイスプレジデントも、「この分野にはM&Aの大きなチャンスがある」と語り、ビューティ業界の次なるフロンティアはウエルネス市場だと見る。22歳で生理用品ブランド「オーガスト(AUGUST)」を立ち上げたナディア・オカモト(Nadya Okamoto)は、「つい最近まで、ウィメンズヘルスはイグジット(投資資金の回収)の実績が十分ではないという理由で資本注入の要請を断られてきた。だが『ザ ハニー ポット カンパニー』や生理用ショーツブランド『ニックス(KNIX)』の事例から、私たちは投資家に実績を伝えることができるようになった」と話す。
ユニリーバは過去数年間で、「ニュートラフォル」「オリー(OLLY)」「リキッドI.V(LIQUID I.V)」「スマーティパンツ ビタミン(SMARTYPANTS VITAMINS)」など多くのサプリメントブランドを買収した。臨床試験済みの育毛サプリメントを提供する「ニュートラフォル」は、単一の原因に焦点を当てた従来の育毛剤とは異なり、ホルモンやストレス、ライフスタイル、代謝、栄養バランス、加齢など、毛髪の健康に影響を及ぼす複数の原因に対してアプローチする。現在はeコマースに加え、3000人以上の医師が同社商品を販売し、マルチチャネルで存在感を強める。また、タブー視されてきた抜け毛に関する会話の偏見をなくすことにも取り組む。
アマゾン(AMAZON)のアグリゲーター(社内外の能力や情報を掛け合わせてサービスを作り上げる企業)だったニューヨークを拠点とするフォーラム・ブランズ(FORUM BRANDS)は、1月にオーガニック生理用品ブランド「ローラ」を買収した。投資銀行ジェフリーズ(JEFFERIES)のサーシャ・ラディック(Sasha Radic)=マネージングディレクターは、「戦略的投資家と、非上場の投資会社の双方がウエルネス業界に積極的。特に初期段階での成長や合併を後押しする動きが見られる」と述べる。
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