ケリング(KERING)はこのほど、ビューティ部門のケリング ボーテ(KERING BEAUTE)のアメリカ担当CEO職を新設し、アレクサンドル・シュエイリ(Alexandre Choueiri)氏を任命したことを発表した。また23年に買収した英国のラグジュアリーフレグランスブランド「クリード(CREED)」の販売代理店であるICPを合併したことを明らかにした。
シュエイリ新CEOはロレアルで
20年以上キャリア
シュエイリ新CEOはロレアル(L'OREAL)のリュクス事業本部に勤務し、直近では「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」のフレグランスのグローバルブランドプレジデントを勤めた。ロレアルでは、ブランドの価値向上と旗艦店やポップアップストアの運営、デジタル改革に注力した。また、ロレアル リュクス事業本部のエグゼクティブ・コミッティーのメンバーだった。
ケリング ボーテは傘下ブランドの
内製化が最優先課題
ケリングの2024年1〜3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比11.3%減と苦戦しているが、ケリング ボーテを含むケリング アイウエア(KERING EYEWEAR)およびコーポレート部門は同9%増と伸長した。フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼CEOは年次総会で、「ケリング ボーテはラファエラ・コルナッジャ(Raffaella Cornaggia)グローバルCEOが27人の従業員を率いており、最優先課題は『ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)』『バレンシアガ(BALENCIAGA)』『アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)』『ポメラート(POMELLATO)』『キーリン(QUEELIN)』のビューティライセンスを内製化すること」だと述べた。
それぞれコティ(COTY)とロレアルがビューティライセンスを保持する「グッチ(GUCCI)」と「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」の状況についてはコメントを控え、「契約上の理由から、他ブランドのライセンスの更新時期は開示できないが、優先順位は自社に戻すこと」と繰り返した。
来秋発売の「ボッテガ」を筆頭に
フレグランスを強化
同社は来年秋に「ボッテガ・ヴェネタ」のハイエンド・フレグランスを発売し、「バレンシアガ」「アレキサンダー・マックイーン」のフレグランスの発売も控える。ピノー会長兼CEOは「知名度を高めながら消費者に望まれるブランドへと進化するため、ハイエンド・フレグランスの販路は厳選する。その後、他の大手ラグジュアリーブランドも手がけるような香水は広く販売する予定だ」と話した。同氏によれば、「クリード」の23年の売上高は約3億ユーロ(約498億円)で、利益率は非常に高いという。新作の“クイーン オブ シルク オーデパルファム”などウィメンズフレグランスの好調や特にアジアでの地理的拡大により、ブランドの成長を見据える。