生成AIを活用したアパレル企業向けサービスの利用が急増している。当初はスタートアップ企業のバーチャルモデルから始まったサービスも、今年に入って商社や通販大手が本格的に参入し、サービスも多様化してきた。最後発のスクロールインターナショナルが猛烈な勢いでユーザーを獲得。AI自体が猛烈な勢いで進化しており、熱気を帯びてきた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月13日号からの抜粋です)
当初の見通しを上回って会員拡大
「当初の計画を上回るスピードでユーザーを獲得している。うれしい誤算だ」と語るのは、2月にアパレルに特化した生成AIサービス「ライトチェーン(LIGHTCHAIN)」を発表したスクロールインターナショナルの音羽裕之社長だ。同社は、サービス発表後わずか1カ月で50社以上のユーザーを獲得した。
スクロール インターナショナル
SERVICE:ライトチェーン
通販大手スクロールの子会社スクロールインターナショナルが展開。ユーザーが年間一定の使用料金を支払う定額モデル。今年2月にサービス開始。テキストによるプロンプト(指示)不要で、数クリックで絵型などが作成できる。デザイナー・パタンナーなどの現場担当者でも使いやすい手軽さが受け、すでに商社や企画会社、大手アパレル、小売企業など50〜60社が採用。ソフトウエア開発は中国の有力ベンチャー企業と提携。
利用料を低めに抑えたこともあって予想以上の手応え。使いやすさ、使い勝手には徹底的にこだわった。当初予定していた初年度100社採用は前倒しで達成確実。2倍にもなりそうな勢い。文字通り日進月歩で進化するAIはスピードが命。数年内に日本のファッション企業なら誰もが使っているような標準サービスにしたい。(音羽裕之/スクロールインターナショナル社長)
東証プライム上場の通販大手スクロールの子会社である同社は、自社で抱えるデザイナー・パタンナーからの意見を存分に取り入れ、「現場目線に徹底的にこだわった」使いやすさがウリ。生成AIでは当たり前だったテキストによるプロンプト(指示)をできるだけなくし、数クリックで多彩なデザイン生成やスタイル変更、生地・柄変更、ディテール変更、ボタンやレースなどの副資材の追加・変更などができるようになっている。ブラウザ経由でログインして月額利用料を取るビジネスモデルで、利用料金をかなり低めに抑えたこともあって、同社が提案しに行くとその場で即決ということも多いという。「当初は商社や企画会社を想定していたが、大手アパレルやSPA、小売チェーンにも広がった」(音羽社長)。数年内に数百社以上の獲得を見込む。
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