PROFILE: (左)Katie Becker/「アークテリクス」チーフクリエイティブオフィサー (右)Howard Lichter/「アークテリクス」バイスプレジデント、トーキョークリエイションセンター長
カナダ・バンクーバー発のアウトドアブランド「アークテリクス(ARC'TERYX)」が、北米以外で初となる開発拠点を、東京・代官山に開いた。ジャパン社ではなく、アメアスポーツ本国の肝煎りといい、オープニングパーティーに本国からクリエイティブの主要メンバーが多数駆けつけていたのが印象的だ。同社は2018年に中国のスポーツメーカー大手のアンタ傘下となったこともあり、以降中国で人気急騰。22年の北京冬季五輪前には、習近平国家主席がシェルジャケットを着ていたことも話題になった。24年2月にニューヨークで株式上場し、約13億ドルを調達している。東京の拠点開設で何を目指すのか、クリエイティブ部門のキーパーソン2人に聞いた。(この記事はWWDJAPAN5月27日号からの抜粋に加筆しています)
WWDJAPAN(以下、WWD):なぜトーキョークリエイションセンター(以下、TCC)を作ったのか。
ハワード・リヒター「アークテリクス」バイスプレジデント(以下、ハワード):ブランドにとって、バンクーバーのコースト山脈の麓で育まれたDNAが最も大切なことは間違いない。ただ、さらなる前進を考えると、職人技術(クラフト)、パフォーマンス性、素材開発、イノベーションといったモノ作りのさまざまな面で日本には強みがあり、ブランドがグローバルで成長していくためには、そうしたものを学んでいく必要がある。
ケイティ・ベッカー「アークテリクス」チーフクリエイティブオフィサー(以下、ケイティ):バンクーバーで製品開発をする中で、日本のモノ作りの考え方と共感する部分は多い。カナダの小さなブランドとして始まり、世界に出てもっと大きくなっていくために北米以外に開発拠点を作ろうとなったとき、絶対日本だと思った。日本はモノ作りにおいて美意識もイノベーションも重視しており、われわれが目指すものと近い。私自身、日本には20年以上通い続けているが、パウダースノーは世界一だし、クライミングを楽しむ人も多い。山のアスリートやガイドと、山での経験をこれまでとは違う角度で見ることができる。
ハワード:日本には四季があることも大きい。特に夏は高温多湿で、バンクーバーと全く違う。この環境でアスリートやガイドが何を求めているのか、彼らと交流して吸収し、新しいモノを作り出したい。ここはクリエイションセンターであると同時にコミュニティーセンターだ。アスリートや日本にいるさまざまなデザイナー、職人、素材開発者、顧客といった、多様なコミュニティーが集う場を目指す。
「高温多湿な日本でモノ作りの精度を上げる」
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