ファッション

韓国で話題の「ヒノック」日本上陸 「3年探し続けた」ヒノキへのこだわり

消臭スプレーなどを扱う韓国発のライフエチケットブランド「ヒノック(HINOK)」が6月20日に日本初上陸する。同ブランドは、韓国・チェジュ島に育つヒノキから抽出したヒノキエキスとヒノキオイルを中心に開発し、厳格なフランスのイブビーガン(EVE VEGAN)認証や、韓国初のプラスチックニュートラル認証を取得している。本国では20〜30代の男女の支持が厚く、売れ筋の消臭スプレーはリピート率も高い。初の海外展開への思いやブランド誕生の経緯、開発のこだわりについて、パク・ソヒ(Park Sohee)ヒノック ライフ(hinok life Inc.)最高経営責任者に話を聞いた。

3年探して見つけた原料
チェジュ島のヒノキ

PROFILE: パク・ソヒ/ヒノック ライフ最高経営責任者

パク・ソヒ/ヒノック ライフ最高経営責任者
PROFILE: 韓国の「キールズ」でマーケティングディレクター、「イニスフリー」商品開発チームのリーダーを務めるなど、約20年にわたり化粧品業界に携わる。妊娠をきっかけに、地球と人が共生できる社会を目指すライフエチケットブランド「ヒノック」を2021年4月にローンチし、現職 PHOTO : YUTA KATO

WWD:「ヒノック」を立ち上げた経緯について教えてほしい。

パク・ソヒ=ヒノック ライフ最高経営責任者(以下、パク):ロレアル(L’OREAL)の「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」やアモーレパシフィック(AMOREPACIFIC)の「イニスフリー(INNISFREE)」など、化粧品業界でマーケティングや商品開発を約20年間担当していた。そこでいびつな形のニンジンやコーヒーかすなど廃棄物を再利用する取り組みに従事する中で、「持続可能な製品を作りたい」という思いが高まった。さらに、2017年の妊娠をきっかけに「未来を生きる子どもたちのために美しい環境を残すことが大人たちの責任である」と強く感じるようになった。そして21年4月、子どもに無害で信頼できるライフエチケットブランド「ヒノック」を立ち上げた。

WWD:“いつも緑と共に”という意味が込められた「ヒノック」は、韓国で初めて世界自然遺産に登録されたチェジュ島のヒノキにこだわり開発している。

パク:ブランドが誕生するまで、原料探しに3年、開発に1年と計4年の準備が必要だった。原料を探す中でヒノキを使った家具職人と出会い、ヒノキに含まれている揮発性物質のフィトンチッドには、アロマ効果や抗菌効果があると分かった。「ヒノック」は、3つの原則に従ってモノ作りを行っている。1つ目は透明性のある製造方法「クリーンメイド」、2つ目は証明された効果を届ける「ファクト&エフェクト」、そして3つ目は環境と共に生きる持続可能な「サステナビリティ」だ。

WWD:具体的には?

パク:自然を傷つけない方法として、済州(チェジュ)資源植物研究所と共に行う枝打ち(健康な木材育成のため余分な枝を切り落とすこと)作業の後に残ったヒノキのみを使用し、エキス抽出後に残った葉と茎は発酵した後、森の堆肥として活用している。また、チェジュ島は火山活動によってできた島のため、土壌は透水性と保水性に優れている。そこで育ったヒノキは香りが素晴らしく、夏に枝打ちしたヒノキはよりウッディーな香り、冬に枝打ちしたヒノキはシトラスの爽やかな香りなど、季節によって良さがある。

サステナビリティには
意図と美しさのバランスが大事

WWD:商品ラインアップは?

パク:衣類や寝具類、ベビー用品、ペット用品、車内などに使えるビーガン仕様の消臭スプレーや、人工香料や色素は使わず、天然のチェジュヒノキ成分のみを配合したハンドウォッシュ。人工香料不使用で、ベース成分にチェジュヒノキ水とヒノキオイルを配合したハンドバーム、1000時間熟成乾燥させて作った固形せっけんだ。韓国ではほかにも、スキンケア成分100%の低刺激弱酸性·中性洗濯洗剤やルームスプレーも販売している。

WWD:「ヒノック」はイブビーガン認証やプラスチックニュートラル認証を取得している。認証の重要性をどのように考えている?

パク:サステナビリティは、どのブランドも取り組むべき課題だ。プラスチックニュートラル認証はアメリカの認証で、韓国のブランドとして初めて取得した。脱プラスチックは重要だが、プラスチックを商品に一切使用しないのは難しく、現実的ではない。「ヒノック」では、スプレーボトルのトリガーにだけプラスチックを使用している。それ以外は再生樹脂(PCR)を使用しているほか、リフィルを用意して“詰め替えライフ”を提案するなど、過度なパッケージングの削減やプラスチックの責任ある使用に取り組んでいる。また、プラスチックを再生するための人件費はとても安く、それがリサイクルが進まない要因の1つでもある。私たちは、その課題についても向き合っているところだ。

WWD:開発でこだわった点は?

パク:最も重視しているのは、生産地であるチェジュ島の人とのコミュニケーションだ。例えば、ヒノキの枝打ちを機械で賄えば、たくさんの原料を早く得ることができる。しかし、それでは木が傷ついてしまう原因にもなる。「ヒノック」では地元住民と共に手作業で枝打ちを行うことで、新たな雇用を生み出すことにも貢献している。そして、サステナビリティを浸透させるには、製品内容と同じくらいデザインも重要だと考えており、開発では特にデザイン面にこだわった。

WWD:サステナビリティにつながるデザインとは?

パク:ブランドがどんなに素晴らしい環境への意志を持っていても、見た目が美しくないと持続できないと感じている。ブランドの意図と美しさのバランスが大事であり、「ヒノック」はどこに置いてもその空間になじみ、時間がたっても美しさが色あせない、長く愛されるビンテージ家具をイメージしてデザインした。家庭にある消臭剤は、棚の中など目立たない場所に片付けられることが多い。それだといずれ使わなくなってしまう。デザインの力を借りて、日常を清潔で衛生的なものにする商品を開発した。パッケージには、ブランドのシグニチャーとして緩やかな曲線を描いている。これは商品を使った瞬間、ヒノキの香りと共に“自然に入るドア”をイメージした。

WWD:今後の展望は?

パク:初の海外進出として日本に上陸し、ザ・コンランショップ(THE CONRAN SHOP)の各店舗で6月20日から先行販売する。また、ザ・コンランショップ東京店では7月15日までポップアップストアをオープンする。そして7月には、ソウル・北村韓屋村(プッチョンハノクマウル)エリアに初の旗艦店もオープン予定だ。開業に合わせて、鎮静効果のあるヒノキのポプリの新商品も発売する。今後ブランドがさらに成長すれば、店舗でのリフィルステーション(量り売り)も行いたい。日本は、おもてなしの精神や好きなモノ・コトに時間をかけて投資をする文化があり、トレンドに左右されない固有の色を持っている。そんな日本に「ヒノック」を紹介できてとてもうれしい。“幸せ”とは、規模に関係なく好きなことを継続すること。朝起きて「ヒノック」のアイテムを使えば、心を整えることができる。日常での小さな“幸せ”を感じてほしい。

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