シンゾーンが運営するウィメンズ業態「シンゾーン(SHINZONE)」は、2024-25年秋冬シーズンからリブランディングする。同ブランドは01年に染谷裕之が「デニムに似合う上品なカジュアル」をコンセプトに創業した。「近年はカジュアルに寄り過ぎていた」(同社)ことから、婦人メーカーで経験を積んだ染谷由希子を新たにデザイナーとして迎え、年齢を重ねた顧客に響く「上質なカジュアルスタイル」の提案を目指す。なお創業者との血縁関係はない。染谷由希子新デザイナーは、「顧客さまからもより上質なものを求めるお声をいただいていたようだ。そこでいま一度大人の女性が着たいワードローブを考えた」と話し、素材やシルエットを見直した。
例えば人気の定番アイテムであるべイカーパンツは、従前のハイウエストのシルエットからウエスト周りに余裕を持たせて、よりリラックスして履ける仕様に変更した。素材はポリエステルからウールとポリエステルの混紡生地に替え、張り感や光沢感を加えた。「毎シーズン買い足すファンが多い」というもう1つの人気アイテム、“クライスラーパンツ”はメンズの工場で製作した2タックパンツで、腰履きでゆったりとしたシルエットはそのままに、新たなウールとポリエステルの混紡生地で履きやすさを向上させた。価格はいずれも2万3100円から3万1900円に上げた。
着ると何か違う、こだわり詰まった新たな定番品が豊富に
24-25年秋冬シーズンは、「ニューヨークに暮らすアカデミックな女性」がテーマだ。「ビンテージアイテムを探しに、ブルックリンのフリーマーケットに出かける日」をイメージしたというキールックは、「リーバイス(LEVI'S)」の701をベースに製作したハイウエストのジーンズに、デニムジャケットをインしたセットアップスタイル。「エルメス(HERMES)」のビンテージベルトでウエストをマークし、ウエスタンブーツでアクセントを加えた。1点、1点は飽きがこない定番的なデザインだが、スタイリングで新鮮さを出した。ニューヨークを拠点にする作家フラン・レボウィッツ(Fran Lebowitz)にインスパイアされたテーラードジャケット(6万8200円)は、芯地の張りにこだわり絶妙な立体感を出した自信作。「大人の女性が制服のように毎日着たくなるワードローブを目指した」という。
「新たな定番品にしていきたい」という綿100%のニットソー(2万7500円)は、イギリスのベントレー社が開発した編み機を使用した。ゆっくりと編み上げることで糸に余計なストレスがかからず、柔らかな肌触りに仕上がる点が特徴だという。「デザインは一見シンプルだが、着ると何か違うと感じてもらえるアイテムを今後のキーアイテムにしていきたい」と染谷デザイナー。
アウターは暖冬を見据えつつも、紡毛糸を使ったヘリンボーンのロングコートなどを提案する。「暖冬とはいえ、お客さまもコートは着たいはず。であれば、ずっと着られるかっこいいコートを作りたいと思った。丈は長くても軽い生地を用いたり、ハンドステッチを入れたり、シンプルのなかにこだわりを感じてもらいたい」。ほかにも、「マーモット(MARMOT)」との別注企画では1990年代の型を復刻したヘビーボアフリースジャケットや、マウンテンジャケットなどよりカジュアルにスタイリングできるアウターもそろえる。
仕入れブランドの比率はこれまで同様に3割程度。今季は1876年創業で世界初のスポーツブランドと言われる「エトニック(ETONIC)」のバスケットシューズや、「レペット(REPETTO)」のローファーなど、小物を中心に仕入れた。