ファッション
特集 繊維商社の「働き方改革」 第2回 / 全9回

繊維商社を読み解く3つのトピックス

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繊維商社を読み解く3つのトピックス

レアメタルなどの資源からコンビニまで、幅広い商材や事業を展開する総合商社に対して、繊維商社は繊維・ファッションに特化してきた。綿花や合繊素材といった川上から、テキスタイル、ブランドビジネスまで繊維・ファッションを軸に、日本のファッション産業と深く結びついている。来年で20年目を迎えるオーガニックコットン素材「オーガビッツ(ORGABITS)」を展開する豊島を筆頭に、サステナビリティにもいち早く取り組んできた。繊維商社の知っておくべきキーワードやトピックスを一挙に紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月1日号からの抜粋です)

住友商事子会社を買収した蝶理が
オシャレにバージョンアップ

蝶理のアパレルOEMを手掛けるアパレル部が好調だ。同社は2020年に買収した住友商事子会社のスミテックスインターナショナル(買収後に社名変更し、現STX)との連携や、素材開発の強みなどを生かした商品開発が奏功している。このほど東京で2025年春夏シーズン向けの展示会を実施した。アパレル部の前川達哉部長は「展示会では、ディレクターにセレクトショップ経験者を起用して、より提案力を高めた」という。

同社のアパレル部の年商は約200億円。「かつては百貨店アパレルに強かったが、コロナ禍を契機に、セレクトショップなどの新規チャネルを開拓した。当社は北陸に強力なネットワークを張っており、テキスタイルに強い。アパレル部でもテキスタイル部と連携して開発した合繊のセットアップスーツで、セレクトショップに加え、郊外チェーンという新たな販路も開拓できた」という。

今後注力するのは、アパレル部を軸にした素材のブランディング。テキスタイル部門の卓越した開発力を、アパレル部を通してブランディングして、テキスタイル部門の販売力強化にもつなげる。「商社と言えばタテ型組織で部門の垣根が存在するが、当社の強みはそんなものがないこと」(前川部長)。

帝人フロンティアがイタリアの本社と共同出資
「セーブ・ザ・ダック」日本法人を設立

帝人フロンティアは5月、伊ミラノのアパレル企業セーブ・ザ・ダック(SAVE THE DUCK)と共同出資で、日本法人を設立した。出資比率は伊セーブ・ザ・ダックが51%、帝人フロンティアが49%。代表取締役には帝人フロンティアの治田兼一氏が務める。

帝人フロンティアは2020年から、「セーブ・ザ・ダック(SAVE THE DUCK)」の日本での独占輸入販売を行っていた。「セーブ・ザ・ダック」は動物愛護と環境保護を理念としており、防寒アウターに動物由来の原材料を一切使用していない点が特色。中綿には、リサイクルペットボトルの微粒子をポリエステル繊維と配合した特許素材「プラムテック(PLUMTECH)」を使用。家庭用洗濯機で丸洗いもできる。

近年のサステナブル機運の高まりで年々販売を拡大していたという。今後は、機能性素材の活用や日本市場のニーズに合った商品開発なども行う考え。

モリリンが3Dに本腰、「M3ラボ」設立

モリリンはこのほど、アパレル3DCADや3Dアバターを活用した研究チーム「M3(エムスリー)ラボ」をスタートした。3DCADを活用した効率的な商品開発に加え、着圧検証機能を活用し体形に合わせたパターン修正も行う。3DCADを軸にアパレルの企画開発DXを進める動きは、豊島やMNインターファッションなども先行してスタートしており、日本のアパレル業界でさらに加速しそうだ。

モリリンはスポーツアパレルやユニホーム向けのODMに強い。標準的なデザインや型の利用が多いスポーツ・ユニホーム分野では、早くから絵型などの分野で3Dデータの活用が進んでおり、モリリンは素材提案や動作検証などにも取り入れることで、効率化やロスの削減に取り組むと見られる。

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