ファッション
連載 今週の特集お届け隊 第145回

繊維商社に必要な働き方改革

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月1日号からの抜粋です)

横山:2月19日号で採用活動の特集をしたときに、商社の新卒採用の半分くらいが女性だと知りました。体育会系で昼夜問わずバリバリ働く男社会の業種というイメージでしたが、最近取材をしに行くと、確かに総合職の女性が増えています。でも、上場している繊維商社の企業データを見ると女性管理職比率はすごく低くて。これはどういうことかと考えたのが、今回の特集のテーマ「女性発 繊維商社の『働き方改革』」です。2011年から毎年繊維商社の特集を担当していますが、知らないことも多いなと思いました。

林:私もかつて商社を取材していたときは、取材相手は男性ばかりでした。

横山:女性の採用が増えたことで、働き方も少しずつ変わっています。ただ、まだ仕事のやり方が男性的というか、例えば週の半分が出張だったりします。周囲の手厚いサポートがない限り、子育てしながらでは難しい。優秀な女性が出産を機に退社してしまっては、会社にとっても損失で、そこは大きな課題です。今どき「女性が」とかいうのは、ナンセンスだなとも思いましたが、もっと言っていかなくてはいけないと思いました。

伊藤忠商事の成功例にも学ぶべき

林:今回の特集でも5人の課長の仕事を取り上げていますが、かなりハードな仕事をしているのは間違いない。総合商社ではあるけれど、伊藤忠商事は2010年に岡藤(正広)さんが社長になり、13年から朝型フレックスを導入して、残業や夜の会食を控える働き方改革を他に先駆けて始めました。結果、女性が活躍する機会が増え、生産性も飛躍的に上がる好事例ができました。伊藤忠の社内の出生率が12年時点では0.6だったけれど、21年には1.97にまで上昇。日本の平均1.30よりも高い数値で、それに続けという機運があるよね。もちろん伊藤忠社員の年収がかなり高額という背景もあるけど。

横山:繊維商社はオーナー企業も多いし、トップと現場も近い。働き方改革もユニークでクイックな動きもできるのではないかと思います。ただ、商社はどうしても取引先に合わせなければならない業種。業界全体で取り組むべき課題でもあります。男性だって50代になれば親の介護など、いろいろと問題が出てきます。働き方のいいモデルケースを繊維商社が作れれば、それが業界の発展にもつながると思います。

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