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韓国の若者世代で「アキバ系」が大ブーム 越境カワイイウオッチャー「萌妹子」が渾身レポート

今、韓国の若者たちの間で「アキバ系」がブームの兆しを見せています。メイド喫茶やネコミミ、執事キャラクターなど、「アキバ系」といわれるブームは2000年代の日本で注目されていましたが、リバイバルブームが韓国発で現在起きています。アジア圏のカワイイカルチャーをウォッチするクリエイティブユニット「萌妹子-menmeiz-(メンメイズ)」が、韓国発の「ネオアキバ系」ブームに迫ります!

2020年から始まった「日本ブーム」

2020年頃から韓国の若者の間では「イエスジャパン現象」といわれる日本ブームが続いています。日本風居酒屋やハイボール、サンリオキャラクターなどが大ヒットし、日本語と韓国語を混ぜる「ハンボノ」と呼ばれる言葉も近年大衆化しています。読売新聞社と韓国日報社が行った調査によると相手国に「親しみを感じる」との回答は、日本が48%、韓国が33%と10年間で最も高い結果となっています。また、韓国観光公社と日本政府観光局(JNTO)によると、2023年の訪日客の27.8%が韓国人となっており、韓国からの日本への注目の高さが伺えます。2022年3月に韓国の大統領となったユン大統領は日韓のシャトル外交を12年ぶりに再開させるなど、韓国現政権は日本との関係性を良好に保つ方針が強いのも「イエスジャパン現象」の大きな要因と言われています。

そんな日本ブームが起きている韓国・ソウルの若者の街・弘大や上水エリアには日本風居酒屋やうどん店の新規オープンが相次ぎ、昨年12月に韓国視察に訪れた際には日本語風の看板や日本食を扱う店が数多く新規オープンし、韓国現地の若者で賑わいを見せていました。

「昭和・平成レトロ」といった、日本の昭和風のインテリアや平成初期のトレンディドラマ風の装飾も人気があり、弘大にあるAK PLAZA 弘大店にある雑貨屋・iwayaでは昭和や平成初期の日本の雑貨や雑誌などがキュレーション販売され、日本のドラマ風フォトスポットや日本の駄菓子やファッション雑誌が陳列され、主にZ世代の女性やカップルが訪れていました。

乙支路3街にあるカフェ・dotopdaには入り口に木村拓哉のポスターが貼られ、店内にはPOPEYEなど日本の雑誌のアーカイブが並んでおり、連日ソウルの若者で賑わう人気店となっています。

また、K-POPアイドル・NewJeans「Hurt (250 Remix)」MVのロケ地が名古屋、RIIZE「Love119」MVのロケ地が京王線沿線だったのも日韓で話題となりました。韓国で100億円、中国で130億円と歴史的な興行収入を記録した「THE FIRST SLAM DUNK」の大ヒットや、「君の名は」「すずめの戸締り」などの近年の大ヒットアニメ映画によって踏切や田園、雪景色といった日本の日常風景への興味は韓国だけでなく中国の若者の間でも関心が高まっています。

2021年からは「ギャル」&「KAWAII」ブーム

「ギャル」も2021年ごろから注目を集めています。K-POPグループ・IVEの日本人メンバー・レイが2021年にギャルピースを披露し、瞬く間にアイドルやインフルエンサーの撮影ポーズとしてギャルピースが流行しました。同時期にK-POPアイドルが身につけていたサンリオキャラクターのグッズが話題となり、2021年7月には弘大にサンリオ・コリアによるポップアップストア「Sanrio Lovers Club」もオープン。サンリオのIR資料によると、2021年から年々韓国での売上は上がっており、2023年度は前年比約250%アップになっています。

2023年6月には集英社・りぼん連載の漫画「GALS!」(連載時期:1999年~2002年)と韓国アパレル・KIRSHがコラボし、ポップアップストアではプリクラ機やメイク体験といったイベントが展開されました。韓国では1998年から2004年の間に段階的に日本の大衆文化の文化開放が行われており、渋谷のギャルを描いた漫画「GALS!」は韓国では2004年に翻訳版が発刊され、2004年〜2005年には韓国内でアニメ放送がされています。Y2Kのキャラクターアイコンとして、当時幼少期を過ごした30代前後の女性には懐かしさを感じるコンテンツでもあります。

そして「ネオ・アキバ」ブームへ

韓国の若者カルチャーの中で「日本」が存在感を放ち、「昭和・平成レトロ」「ギャル」のブームに続いて「アキバ系」が次のブームの兆しを見せています。

きっかけは、2023年1月に韓国ユーチューバーrのTANAKAが日本のメイド喫茶を訪れ「おいしくなあれ、萌え萌えきゅん!」というフレーズを披露したこと。TANAKAは歌舞伎町で働くホストという設定で日本語を交えて発信し、76万人の登録者を持つ人気ユーチューバーです。

2021年ごろからは、メイドやアニメ文化は少しづつ話題となってきました。女性を中心に人気となっている韓国のイラストレーターの間でもメイドキャラのブームは起きていました。なかでもフォロワー5万人の人気イラストレーターDOMIさんは2021年ごろより自身の作品でメイドキャラクターを描いています。

2021年にオープンした麻浦区にあるカフェBAR「ドリームランド」では店内のあらゆるところにポスターやフィギュアが飾られ、アニメをイメージしたカクテルが楽しめる店としてソウルの若者に話題となっています。店内にはアニメソングが流れ、訪問した際には流れる曲を合唱する様子も見られました。「ドリームランド」のオーナーは昔からアニメを好んでおり、日本に住んでいた経歴もあるそうです。

ストリートでじわじわと注目を集めていた「アキバ系」ですが、2023年のTANAKAによるYouTubeの影響により「萌え萌えきゅん!」のフレーズは話題となり、2023年には韓国内でメイド喫茶が5店舗ほど次々とオープンしました。また、イラストレーターによるメイドキャラクターオンリーの物販イベントや、日本旅行での様子を投稿するVlogでも秋葉原や新宿のメイド喫茶は取り上げられ、韓国の若者の注目スポットとなっています。そして2023年12月には韓国内初となる執事喫茶・Lucifelがオープンし、現在も予約で埋まる人気店となっています。

2023年7月にリリースされたNewJeansの2nd EP「Get Up」では韓国のイラストレーター・miigoさんが起用され、メンバーをアニメ風に描いたアートワークが登場。イラストを用いたグッズなども発売後即売り切れとなるなど大きな話題となりました。

また、今年3月にはTANAKAがYouTuber・NEEDMORECASHとASMRZというユニット名でリリースした楽曲「잘자요 아가씨(おやすみなさい)」を公開し国内外で話題となりました。

NEEDMORECASHは今年の2月頃から日本語で日本のアニメに出てくる執事を模したショート動画を投稿しており、MVだけでも990万回再生されています。(2024年6月現在)「やれやれお嬢様」と日本語で台詞が入るのが印象的な楽曲をK-POPアイドルのATEEZやTHE BOYZ、NCT WISHがTikTokで投稿し、一躍ネットミームとなりました。「잘자요 아가씨(おやすみなさい)」のMV撮影は執事喫茶・Lucifelで行われています。

K-POPにも「アキバ系」の影響はあり、NCT127のテヨンのMV「TAP」には秋葉原のメイドカフェ・あっとほ〜むかふぇがロケ地として登場し、オムライスに文字が書かれたものが登場しています。

「アスキーアート」もキテる

また、アスキーアート風のデザインも人気を集めており、K-POPなどのアートワークで使用されています。また、私たちが運営するブランド・menmeizでもそうしたトレンドを反映し、アスキーアートやアキバ風のクリエイティブを発信しており、今年4月カメラアプリ・EPIKに提供したスタンプでは、配信後世界3位を獲得。オーガニックでK-POPアイドルもスタンプを利用するなど、アスキーアートが注目されていることを実感しました。

「ネオアキバブーム」の背景は?仕掛け人の一人「GOGO!project」に聞いた

こうしたアキバブームの背景には現在韓国の作り手である30代〜40代世代の中高生時代に日本文化との接触が増えたこともがあると推測されます。日本のアキバ文化を幼少期から好み、現在韓国内でアキバ系カルチャーのクリエイターのキュレーションや雑貨の販売を行うGOGO!projectさんにこうした事象について伺いました。

「約1年の間に韓国内でのアキバ文化に対する認識はすごく大きくなりました。 様々なインフルエンサーやYouTuberが日本のメイドカフェや執事カフェなどを撮影した映像が人気を集め、大衆がこのような文化があることを知り、現在は韓国にもメイドカフェ、執事カフェなどが少しずつ生まれています。現在の韓国ではアキバ系文化が2020年代以前よりはファッショナブルに消費されており、以前よりも大衆が拒否感なく楽しんでいます。さらにアキバ系を通して個性を追求する人々も増えています。現在の消費者は元々のアキバ文化が好きな20~30代以上の女性と、最近の流行を通じて知った若い方たちの2種類に分かれます。若い方々には今、アキバ系文化が新鮮で面白く見えていると思いますが、彼らは流行にとても敏感で新しいことを絶えず求める消費層なので、この文化が短期間に大衆の関心を受けた分、短期的な消費のされ方をする可能性もあると思います」

流行の立ち上がりと消費のスピードが早い韓国から広がるトレンドは、K-POPやアパレルなどを通して日本の若者の流行に影響を与えています。こうした韓国発信の「ネオアキバ系」のトレンドは、徐々に日本でも流行の兆しを見せていますが、今年の夏以降に大きなトレンドになる可能性を秘めています。

日韓双方向で行き交う若者トレンド。これからもmenmeizではガールズカルチャーの流れをいち早くキャッチしていきます。

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