東京のファッションシーンはクリエイションへの熱で溢れている。世界を見据えてショー発表の時期を早めたブランドや、これまでとは異なる手法でコレクションを披露するブランド、スタイリストやDJの肩書を持つデザイナーが新たに始めるブランド、フェミニンな世界観をメンズ服に拡大させたブランドなど、“服を作る”という目的は共通しながら、そこに至るまでの思いはさまざまだ。東京ブランドを取り巻く最新ニュースを紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月19日号からの抜粋です)
NEWS
東コレ、オフスケ組の存在感高まる
2025年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(通称:東コレ)」は9月2日に始まる。今季もすでに東コレに先駆けて最新コレクションを披露したブランドが目立った。特に「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」と「ファンダメンタル(FDMTL)」は、海外のメンズ・ファッション・ウイーク開幕前の6月上旬という異例の早さでランウエイショーを実施。パリで開催する展示会のために事前にメディアを通して情報発信し、バイヤーらの注目を集めておきたい狙いだ。
「イレニサ(IRENISA)」
DESIGNER:小林祐&安倍悠治
今季からウィメンズラインを提案。ショー開催はウィメンズの披露と「陶芸や彫刻のようにどこから見ても美しい服作りを目指しているため、モデルが着用した状態でゲストに見てほしい」という思いからだ。ウィメンズ用として作ったウエアは全体の2割ほどで、基本的にはメンズ用をサイズダウンして仕立てたという。衣服と体の間にある空間を造形しようとするデザイナーの哲学を反映するように、クラシックなテーラードには体を締め付けないリラックス感を、カジュアルなシャツにはルーズ過ぎない造形を取り入れて、ブランドらしいバランスを探る。
「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」
DESIGNER:志鎌英明
これまでデジタル参加だったミラノ・メンズ・ファッション・ウイークで25年にリアルショー開催を目指しており、東京でのショーはチーム力の強化も意図している。コレクションテーマは“ナッシング・ユージュアル(いつも通り)”で、カルチャーへの接点が広い同ブランドらしさをさらに凝縮。鍵となったのは高級感を意識したというオリジナル生地。そのクリーンさによって、メンズブランド「ジョンドウ(JOHNDOE)」とコラボしたヘッドピースや、おなじみのバンダナ生地をつないだトップスなどから立ち上る、カルチャーミックス感を引き立てていた。
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