港区マーケットは一日にしてならず。長年にわたって港区の街づくりをけん引してきた森ビル、メディアとして「港区」を社会現象にした「東京カレンダー」のキーマンに聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月2日号からの抜粋です)
PROFILE: 栗原弘一/森ビル常務執行役員 商業施設事業部 統括部長
森ビルの商業部門を担当するのが常務執行役員の栗原弘一氏だ。六本木、麻布台、虎ノ門という3つのヒルズが近接する体制によって、港区の街づくりは新しい局面に入った。
六本木、麻布台、虎ノ門 ワンダフルライフの街を作る
昨年11月に開業した麻布台ヒルズには1日8万人前後が訪れる。初年度の来街者目標3000万人も超える見通しだ。都心とはいえ麻布台はショッピングエリアではない。商業施設を作ることは大きなチャレンジだったが、栗原氏は「今のところ予算はだいぶクリアしている」と胸を張る。「物販、飲食、ミュージアムなども含め、麻布台ヒルズが醸す気持ちよさがお客さまの心に刺さったのだと思う」。特に桜麻通りを中心にしたラグジュアリーゾーンがけん引する。銀座や表参道のようなトラフィック(通行量)がないからこそ、顧客一人一人をじっくり接客する。既存の繁華街とは異なるコンセプトを打ち出し、顧客とのエンゲージメントを高めた。
港区の中心部にアークヒルズ、六本木ヒルズ、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズなどヒルズが連鎖するようになった。それぞれオフィス、商業、住宅、ホテル、ミュージアムやコンサートホール、広場などで構成する。商業を統括する栗原氏だが「商業地を作ろうという発想はあまりない」と話す。「住む、働く、遊ぶ、憩う、学ぶ、そんな街の機能を複合させることの方が肝心だ。私はワンダフルライフと呼んでいるが、豊かな都市生活の実現こそ森ビルの仕事。質の高い街を作れば、自然に人や企業が集まり、商業も賑わう」。
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