ファッション

「パタゴニア」が大阪・梅田店に日本初の中古品販売コーナーを常設する理由

パタゴニア日本支社は9月6日にグラングリーン大阪に開く西日本最大規模の店舗に中古品販売コーナーを設ける。再販品の常設は米国シカゴ店に次いで二店舗目、日本では初の店舗になる。

中古品の販売は2021年8月の渋谷店を皮切りに京都店(23年6月)や渋谷店(24年5月)でポップアップイベントを行ってきた。「満を持しての常設だ。この3年でポップアップやリペアイベントを開催する中でいろいろと見えてきたし、実績もできた。世界各国の『パタゴニア』の中でも日本は“ウォーンウエア(WORN WEAR、中古品プラットフォーム)”の取り組みがお客さまに響きやすい傾向がある。大阪・梅田店はコンセプトに“伝統と革新”を据え、『パタゴニア』創業時から続くアウトドアブランドとしての機能性と品質を追求したモノ作りを表現することに加えて、これからのアパレルメーカーや企業の在り方を体現することを目指した。一石を投じたいと考えた」と生山朋志Direct to Customer ディレクター (直営店、イーコマース、カスタマーサービス)は語る。

大阪・梅田店の売り場面積は国内3番目となる121坪で、1フロアでは日本最大級だ。ほぼ全製品をラインアップしており(サーフとマウンテンバイクを除く)、製品バリエーションが多い。梅田駅直結で新規客とインバウンド客が期待でき、これまでの出店で大切にしていた“地域の人々とコミュニティを醸造する店”とは毛色が違う。「通常なら解放感を大切にして壁を設けないところにあえて売り場を遮るように壁を設置して、“ウォーンウエア”のブースを設け、反対側にはわれわれが訴求したいメッセージ、今であれば“ファッションとは関係ない”を掲示した。新規のお客さまはもちろん、『パタゴニア』のロゴや製品を知っていても活動を知らないお客さまに対してもわれわれの活動を知っていただくきっかけを作りたいと考えた。うめきたの開発エリアは直結とはいえ駅から少し距離がある。近所には住宅街があり、さまざまな人々が行き交う場所でもある。消費も食もエネルギッシュな街大阪で、新製品だけではなく“ウォーンウエア”をはじめとする『パタゴニア』の活動を知ってもらいたい」。

買い取りサービスの委託先は「ラグタグ」を運営するティンパンアレイ

再販のための買い取りサービスは「ラグタグ」を運営するティンパンアレイに委託した。再販価格は定価の4割ほどだ。二次流通市場でも人気が高い「パタゴニア」製品をCtoCのプラットフォームが整備されている日本で、ブランド側に“戻す”選択をしてもらうのは簡単ではないだろう。「CtoCのサービスがたくさんある中で、お客さまへのインセンティブをどうするのか。正規の直営店の魅力を感じてもらえるかは課題の一つ。買い取りを始めて3~4カ月が経ったが、出だしは悪くない。6月は約2000着を買い取るなど、まずまずの滑り出しだった。月によってばらつきがあるし、このペースが保てるかも挑戦になる。もともと流通量はメンズ製品が多いため、これまでの実績を合わせても買い取りはメンズ製品が多く、販売もメンズ製品がよく動く」。買い取りのスキームに関しては、「僕自身、試しに買い取りを行ってみた。自宅から発送ができ、査定の連絡も早くてスムーズだった」と評価する。CtoCでは出品者は写真撮影などの手間がかかるし、買い手は真贋判定を経ない製品を購入するリスクもあるため、出品の手間と真贋判定は直営店ならではのメリットといえるだろう。

修繕したアイテム“リクラフテッド”は「京都店と渋谷店で反応が良かったが、手間がかかる。ユニークさ良さでもあるが、デザインの一貫性について今後検討する必要がある。まずは“ウォーンウエア”の本流である純粋なリセールを行う」という。「重要なのは中古品を単体で見せるのではなく、新製品と中古品の両方を見て選択できる環境を作ること。今後は、東京でも”ウォーンウエア“の常設店を検討しており、Eコマースでも同様に新品と中古品両方の選択肢を提案できないかと思案している」。

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