本特集では、サステナブルなアパレル製品の作り方について考えたい。検討したい課題はさまざまにある。自然環境への負荷低減(GHG排出による地球温暖化・土壌や水質汚染・水資源の大量使用・製品の大量廃棄の回避)、人権侵害の回避、動物愛護、行動変容を促すサービスを含めたデザイン、土地に残る文化や技法、技術の継承などだ。今特集では、こうした課題に対してよりよいデザインを検討して作られた日本ブランドの製品を13点紹介する。有力アパレルメーカーが定番品をよりサステナブルに作り替えた製品や新たにブランドを立ち上げた事例、社会課題解決に向けて方法を模索して作った製品などさまざまなアプローチを取り上げる。新規ブランド立ち上げ時や既存ブランドでもまずは一つの製品で実践する際に参考にしてほしい。リサイクル糸やオーガニック糸への単純な置き換えだけではバージン糸の風合いが再現できないなど、モノ作りで直面する課題の解決策や新素材の活用法などの具体例を加えて、日本国内の既存の製法では国際基準や欧州の規制をクリアすることが難しいなど直面する課題も浮き彫りにしたい。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月9日号からの抜粋です)
デザイナーズブランドが新型で取り組む
ダブレット(DOUBLET)
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革新素材にユーモアのセンスを
のせてポップに伝える
「ダブレット(DOUBLET)」はこれまでもキノコの菌糸体から作った人工レザーや、廃棄されるバナナの茎を繊維として再利用した糸「BANANA CLOTH」など、イノベーションやアイデアから生まれる画期的な素材をいち早く採用してきた。「BANANA CLOTH」であればバナナ柄という具合に原料の由来自体をモチーフ化するなど、ユーモアのフィルターを通すことでシリアスなテーマもポップに表現する。パリメンズで発表した2025年春夏コレクションのテーマは「推し」。「明るく未来を目指して地球のために取り組んでいる企業が新たな素材や試みを発信されている。そんな方々がアイドルに見えて彼らを“推す”ことをテーマとした」と井野将之デザイナー。シンフラックスが開発した、AI活用により型紙裁断時の生地廃棄を削減するデザインシステムは24-25年秋冬から採用している。
ピックアップ製品のポイント
Tシャツはスパイバー(SPIBER)開発の微生物発酵プロセスにより作られる人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を30%、綿を70%使用。「新素材を開発することで、資源の奪い合いによって戦争が起きたりすることがなくなる未来を目指しているスパイバーさんの考えを知った」ことが選択の理由に。「タンパク質といえばお肉。食と衣にまたがって存在できる素材の魅力を両方味わってもらえたら」と生肉柄を採用。胸に大胆に「spiber」と書いたトップスもある。
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