PROFILE: 木村亮さん/デサントジャパン DTC部門リテールビジネス部 店舗人材開発課

17年間の店頭経験を生かして、今年7月から店舗人材開発課へ異動した。現在はこれから進める直営店のスタッフ育成のための準備で、全国の店舗へ足を運び、各店の課題や店長たちの悩み、スタッフ育成の状況などを調べる。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月23日号から抜粋・加筆しています)
「『デサント』がスポーツブランドとして求められているのは、水沢ダウンをはじめとする機能性とデザイン性の両方を兼ね備えたプレミアムなスポーツアイテムです。そうなると、販売員にはそれらの商品に似合う接客の質が必要になると考えています」
木村さんが店頭にいたとき、接客で心がけていたことは「気づかい・ていねいさ・寄り添う」の3つ。
店内の客の動きをよく観察し、何か探している商品があるのか、試着をしてみたいのか、困っていることがあるのかと常に気をつかっていた。もちろん商品も同様に、扱う時は気をつかう。たとえTシャツであっても立ちながらたたみ直すのではなく、テーブルの上で一枚ずつていねいにたたみ直してから店頭へ戻す。
来店するお客さまは、他社と比較検討している場合も多いので、どんな用途やシーンで着用するのか、必ずほしい機能は何か、さらにはワードローブなども確認して、ていねいに確認して、客が比較検討しやすいように一緒に最適なものは何か整理する。
「機能性の高い商品は必然的に高額になるので、お客さまは悩まれます。納得いくものを選んでいただきたいから、悩まれるお客さまには素直に『じっくり悩んでください』とお伝えします」
そんなときに最も気を付けることは、他社をおとしめるような言葉はいわないことだ。他社製品の良さを肯定しつつ、自社製品の良いところをアピールする。
木村さんの素直で誠意ある接客は顧客からも信頼され、15年には店長へ昇格した。しかしその2年後にサブへ降格することになった。「順調にキャリアを積んでいたのでショックでした。ですが、あらためて振り返ると、このときは店長として必ず身につけておくべき売上管理、スタッフ育成といったマネジメント業務ができていいなかった。だから、もう一度勉強するために降格させられたんだと、今なら分かります」
その転機を経て、19年には旗艦店であるデサントトウキョウの店長に抜擢された。23年からはコクーンシティ店とららぽーと豊洲店の兼任店長を任され、社内表彰制度で表彰。今年2月に開催された自社の接客ロールプレイングコンテスト「DESCENTE SC OF THE YEAR 2023」決勝大会にも出場し、上位入賞は逃したものの、その頑張りが認められ、後進育成のために本部へ異動することになった。
「何事にも真面目に取り組み過ぎてしまうことが、自分の強みでもあり、弱みでもあります。それを認めることで、ここまで成長することができたのかなと思います。社内表彰されたのも、ロープレコンテストに出場できたのも、一緒に働くスタッフたちの支えがあってこそです。今後はこれまでの経験を生かして、プレミアムブランドとしてのデサント販売員を育てていきたいです」