PROFILE: 燕宣樹/「タイムヴァレー 麻布台ヒルズ」店長

4月に大型複合施設「麻布台ヒルズ」にオープンしたラグジュアリーウオッチ&ジュエリーブティック「タイムヴァレー 麻布台ヒルズ(TimeVallee Azabudai Hills)」。ラグジュアリー・コングロマリットのコンパニー・フィナンシェール・リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)がが新たなリテールビジネスを展開するために2014年にスイス・ジュネーブで設立した「タイムヴァレー」。世界で展開する同店の運営は、それぞれ地元のパートナー企業に任され、日本では時計販売店のベストイシダ(ベスト販売)が請け負う。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月23日号から抜粋・加筆しています)
腕時計は腕におさまってこそ
魅力を発揮する
開店から約5カ月が経過した同店をまとめるのが店長の燕宣樹さんだ。燕さんは、新卒でベストイシダに入社後、20年近くイシダ新宿店に勤め、「タイムヴァレー 麻布台ヒルズ」のオープンに際して同店に異動。店長を務める。
接客での信条は「腕時計は、腕におさまってこそ、魅力を発揮する」。一見好みではない時計でも、積極的に試着してもらうことで、考えもしなかった時計の魅力に気づくことがあるという。「お客さまに似合う時計が腕におさまる瞬間に立ち会うのが一番の喜び」と語る。
転機は、イシダ新宿店で「ボールウオッチ」を担当した時。「ボールウオッチ」は当時10万円前後だったが、同ブランドの時計を検討していた女性に「安い物を売っていると思っていませんか?」とお叱りを受けた。「超高額の時計に囲まれ、感覚が狂いかけていた」と振り返る。燕さんは「大切なものの購入に値段は関係ない」と猛省。以降は、「お客さまにとってベストな時計を一緒に探す」と心に決めて接客に励んだ。そのかいあって、年間の「ボールウオッチ」の販売数が日本の販売店で1位になったこともあった。
現在は、時計ファンとの関係構築はもちろんのこと、それ以外の人たちとも接点を作るため、カクテルパーティーや、「麻布台ヒルズ」内のフレグランスブランドなどを巻き込んだイベントを積極的に開催。「麻布台ヒルズの『街の時計屋さん』になりたい。時計の魅力を改めて発見できる店づくりに努めます」と語る燕さんの顔は晴れやかだ。