良品計画の「無印良品」は10月9日、代官山店を関係者に公開した。11日にオープンを控える同店は、衣料品を「MUJIラボ(MUJI LABO)」に特化した初の店舗になる。
同ブランドは、ベーシックな服作りを追求する実験的な商品ライン。「無印良品」創業当時から大切にしてきた素材の良さやクラフツマンシップを強く押し出す。2024-25年秋冬は、“再生カシミヤ”と“自然のまんまの色カシミヤ”(染色や漂白をせず仕上げたカシミヤ)を主力素材とし、担当の山本直樹・良品計画上席執行役員は「自然の力でここまでできるんだという『無印良品』の哲学を体現する商品をラインアップする。素材の生産者とチームが肩を並べ、商品開発しているからこそなせる技だ」と語る。素材を生かすため、装飾を減らし、シンプルなデザインとシルエットに落とし込んだ。また、素材にこだわるため、通常の「無印良品」の商品より高めの価格を設定。それでも一般的な同一素材の商品より手ごろで、カシミヤ混のチェスターコート(2万9900円)やノーカラーコート(2万4900円)を主力商品として打ち出す。山本上席執行役員は「商品開発の軸として、今後も地球環境の維持、社会問題の解決、文化や伝統からの学びに焦点を当てる」と続ける。
「MUJI ラボ」は05年に始動。「Nハリウッド(N.HOOLYWOOD)」の尾花大輔デザイナーがデザインディレクターを務めてきたが、2024-25年秋冬シーズンを機に、社内のデザインチームが手掛ける体制に切り替わった。国内18店舗とウェブほか、パリやニューヨーク、上海など、世界13カ国の地域で取り扱う。メインターゲットは定めておらず、同ブランドの哲学に共感する人を誘致する。代官山に新店舗をオープンしたのも、”ライフスタイルにこだわる”人が住み、集まる場所のため。
山本上席執行役員は「大量生産・消費社会において、ブランド名やクリエイター名から解放されるような存在でありたい。あくまで商品を主役に、着る人の個性を輝かせるブランドでありたい」と展望する。商品の良さを訴求できるよう、通常の「無印良品」店舗より空間に余裕を持った商品配置を意識。また、素材ごとに商品を並べ、再生素材や無染色素材ならではの”同一素材の中にある違い”を楽しめるようにした。印象的な原毛のオブジェは、「MUJIラボ」の素材へのこだわりを具現化したものだと言える。