1977年に設立したパルコのファッションとカルチャーのシンクタンクが運営するメディア「アクロス(ACROSS)」。80年8月から現在に至るまで、毎月路上で若者のファッションを観察・インタビューする「定点観測」を実施している。そんな長年ストリートを見続けていた「アクロス」編集部に、“ニューレトロ”ファッションの実態と、当時と現在を比較して浮かび上がったハイブリッドなスタイルの特徴を聞く。(この記事は「WWDJAPAN」2024年10月21日号からの抜粋です)
PROFILE: (左)中矢あゆみ/パルコ 「アクロス」編集長 (右)大西智裕/パルコ 「アクロス」編集
Y2Kや平成レトロなスタイルは「間違いなく盛り上がっている」と語る中矢あゆみ編集長。特徴はコンパクトなトップスや太いパンツ、ボリュームのあるシューズ、華美な装飾など。それらのスタイルはNewJeansらK-POPアイドルグループの影響が色濃いが、彼らのプロデューサー陣は日本の1990〜2000年代のカルチャーからも影響を受けて新たな潮流を仕掛けている。
日本と韓国の交差する眼差し
クロップド丈のトップスやヘソ出しルックなどストリートを席巻しているコーディネート①の源泉には韓国アイドルの姿があり、そのスタイルのレファレンスには過去の日本②があるなど、日本と韓国は相互に影響を受け合っている。この関係性は他国でも言える。「アクロス」編集部がスナップした女性③がフォローしているというニューヨークのショップ「クライマックス(CLIMAX)」では雑誌「スタジオ・ボイス(STUDIO VOICE)」やヒロミックス(HIROMIX)の写真集を投稿④。編集部の大西智裕さんは「日本の古雑誌を買い求めに神保町は外国人で溢れている」と話し、古書店「マグニフ(MAGNIF)」で古い「ポパイ(POPEYE)」「リラックス(RELAX)」「フルーツ(FRUiTS)」「キューティ(CUTiE)」を買う客も多いという。外国とカルチャーを輸入し合う現状で、渦のようにスタイルがかき混ぜられている。
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