「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」は11月13日、ピーター・ドゥ(Peter Do)=クリエイティブ・ディレクターが30日付で退任をすることを発表した。同氏は2023年5月に現職に就任し、25年プレ・フォール・コレクションが最後のコレクションとなる。なお、後任については現時点では明らかにされていない。
「ヘルムート ラング」は1986年の設立。90年代にファッションの一大潮流となったミニマリズムを象徴するブランドの1つとして人気を博した。しかし、2005年に創業デザイナーであるヘルムート・ラングがファッション界を離れ、06年以降はファーストリテイリンググループのリンク・セオリー・ジャパンが運営している。その後、「フッド・バイ・エアー(HOOD BY AIR)」のシェーン・オリバー(Shayne Oliver)やマーク・ハワード・トーマス(Mark Howard Thomas)ら複数のデザイナーがさまざまな形でブランドに携わったものの大きな成功には至らず、最近はスタジオのチームがデザインを手掛けていた。
ドゥ=クリエイティブ・ディレクターはベトナムで生まれ、14歳で米国に移住した。ニューヨーク州立ファッション工科大学(Fashion Institute of Technology)で学び、14年に「LVMH グラジュエーツ プライズ(LVMH Graduates Prize)」で優勝。フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が率いた時代の「セリーヌ(CELINE)」で2年、「デレク ラム(DEREK LAM)」で1年半の経験を積んだ後、18年に自身のブランド「ピーター ドゥ(PETER DO)」を立ち上げた。高いテーラリング技術を生かした、斬新かつ上質なリアルクローズは高く評価され、瞬く間に人気ブランドに。23年春夏コレクションからメンズウエアに進出した。
ドゥ=クリエイティブ・ディレクターのコメント
ファーストリテイリングの取締役である柳井一海 ヘルムート ラング会長は、「ピーターの比類のないクリエイティブなリーダーシップとビジョンに、深い謝意を表する。今後、彼がさらなる成功を収めることを願っている」と語った。
ドゥ=クリエイティブ・ディレクターは、「私のビジョンをサポートするにあたり不可欠な『ヘルムート ラング』チームに深く感謝する。ヘルムート・ラングのレガシーを継承するという役割を任され、素晴らしい旅を経験することができた。絶対に忘れることのない、一生に一度の機会を与えてくれたカズミ(柳井一海氏)に、心から感謝している」と述べた。