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K-POPや多業界からラブコール! 3Dアーティスト、DAMOの作る“誰も完璧じゃなくていい”不安定な世界

PROFILE: DAMO / 3Dアーティスト

DAMO / 3Dアーティスト

PROFILE:DAMO 1997年生まれ、韓国ソウル出身。大学では視覚伝達デザインを専攻し、グラフィックデザインを学ぶ傍ら授業の一環として学んだ3Dという表現方法に引かれ独学で技術を習得する。大学卒業後は3Dアーティストとして、K-POPアイドルを始め、さまざまな企業のクリエイティブに携わると共に、版画、セラミックなどのマルチメディア作業を行うアーティストグループ、ムルッカ(MURRCCA)としての活動や、韓国発アパレルブランド「ユースバス(YOUTHBATH)」でグラフィックデザイナーを担当するなどマルチに活躍の場を国内外へと広げている。2025年1月には、映像作家・吉岡美樹との合同展示会を表参道のギャラリーROCKETで開催予定だ

日々、新鮮なコンテンツが生まれトレンドが移り変わっていく韓国。エンターテインメント業界やビューティ業界はもちろん、少し街を歩くだけでカフェやレストランまでもクリエイティブにかなり力を入れている事がよく分かる。そんな韓国・ソウルで唯一無二の世界観で人々の心を掴み続けている3DアーティストのDAMO。一度見たら忘れられない少し不思議で可愛いDAMOの作品は、ニュージーンズ(NewJeans)やストレイキッズ(Stray Kids)などといったK-popアイドルから、現在韓国で大人気のインディーズバンド出身のシリカ・ゲル(Silica Gel)まで幅広いアーティストや企業からラブコールが止まらない。そんな多くの業界のクリエイティブに携わる人気3DアーティストのDAMOに、インスピレーションの源や制作にかける思いを聞いた。

3Dとの出合い

WWD:3Dアーティストとなった経緯は?

DAMO:大学で視覚デザインを専攻する中で3Dの授業を受ける機会があり、それが3Dとの出合いでした。3Dを作る事がとても面白いと思ったことと、元々ストップモーションアニメーションを制作したいと思っていたのですが、やりたかった表現が3Dでも制作できるのではないかと思ったり、色々な考えがつながって1人でも本格的に3Dの勉強を始めました。

WWD:3Dを知らない人間からすると複雑に見える3D技術を独学で勉強したとの事だが、本などを読んで勉強したのか?

DAMO:大学の授業でちょっと勉強した以外は大体YouTubeにあがっている動画を見て勉強しました。動画の中で分からないことがあれば3Dを勉強する人たちの集まる掲示板に質問を投げ掛けたりして、特に専門書を読んだことはないんです。自力で技術は勉強してきました。

WWD:DAMOさんの作品は、頭の中を覗いて見たくなる様なユニークな作品が多いが、制作のインスピレーションはどこで得ることが多い?

DAMO:昔は、夢をたくさん見たので夢の中の自分が見た事をアイディアに制作を行っていました。最近は、夢の中よりも日常の中からインスピレーションを得ている気がします。道を歩きながら1人でした想像の世界を作品で表現しています。

WWD:3Dでの制作以外にも、セラミック作品やタトゥー、人形制作まで幅広い手法で制作をされている。今後チャレンジしたいアイディアは?

DAMO:巨大な作品を作りたいです!いつも最初は3Dで制作を行い、そこで生まれた作品をもとにセラミック作品や人形などを作っているんですが、次は、画面の中で作った3Dのイメージを使って、現実世界で見ることのできるすごくすごく大きな人形を作りたいです。

WWD:DAMOさんは常に自分らしい唯一無二の世界観を貫いている。制作にあたって大きな軸となるテーマはある?

DAMO::私はいつも作品を説明する時に“不安定な存在”を作っていると話しています。私が、不安定な世界を作ればその世界では誰も完璧じゃなくて大丈夫なんです。そんな作品に込められたストーリーが人々へ伝わったら良いなと思い制作をしてます。

音楽業界からファッションブランドまで広がり続けるDAMOの世界

WWD:ニュージーンズやストレイキッズ、最近カムバックしたル セラフィムまでK-pop好きなら必ずDamoさんの携わった作品を見たことがあるのでは。幅広いアーティストや企業と仕事をする中で最も反響が大きかった仕事があったら教えてほしい

DAMO::インディーズ出身のバンド、シリカ・ゲル(Silica Gel)のMVが一番反応が大きかったと思います。MVは、実写映像の中に私の作った3Dアニメーションが入る構成だったのですが、それが新鮮で面白いと思ってくれたようです。ストーリーの中で必ず必要だけれど実際に実写で撮影することが難しい部分を私が3Dで作った感じです。

WWD:K-POPアーティストの仕事はどのようなきっかけですることになったのか?

DAMO::3Dアーティストとしての活動を始めた時は、インスタグラムに個人制作を載せていく中でラッパーなどヒップホップアーティストの方々から仕事の依頼のDMを多く受けるようになり、そこで作った作品からエンターテインメント界の方が私を知ってくださったようで、仕事を受けたらそこからまた違う企業やアーティストにつながって……。といった形でどんどん仕事が増えていきました。

WWD:独特な世界観を維持しながらパーソナルワークだけではなく、多くの企業とも仕事をされている。ご自身の制作とクライアントワークの制作を行う中で意識の違いがあったら教えてほしい

DAMO::もちろん個人制作では100%自分のやりたい事や言いたい事を自由に表現するようにしています。しかし、どうしても個人の制作ではなくて、クライアントワークという形になると皆さん私の作品スタイルをいいなと思って仕事を依頼して下さっていますが、それでもその方々がはっきりと望むものがあるので、もちろん、自分のやりたいように全部制作することは難しいです。特にK-POP業界は制限も多いので最初は戸惑うこともありましたが、クライアントの方々も私の色々な部分を見て連絡を下さっていると思うので

WWD:トレンドの移り変わりの激しい韓国ですが、DAMOさんが注目している最新トレンドは?

DAMO::これは韓国だけではなくて世界的なトレンドですが、AI技術です。本当に多様な分野でよく見るようになりましたが、人間だけができた芸術という分野にもAIを使って制作する人が増えましたよね。特に最近韓国では、ヒョゴ(hyukoh)というバンドが久しぶりにカムバックした際にAI技術をたくさん使用した作品を発表しましたが、韓国ではヒョゴがやったらイケてるというイメージがあるので、人々は無条件に肯定的に受け入れているんじゃないかなと思います。しかし、私は個人的に人々がAI技術を無条件に受け入れるのではなくて、分離してもらえるようにできたら良いなと考えています。あまりにもAI技術に頼らないである程度、”人間にしかできない事”をできないかと思います。あまりにもトレンドが早く変わっていますね。

WWD:いつかAI技術を駆使して制作を行う気持ちはあるか?

DAMO::いつか自分にすごく合うAI技術が誕生したら私も使うかもしれませんが、今はまだ使いたくないという気持ちが大きい気がします。でもすごく嫌いで絶対無理!って訳ではないです。でもやはり、将来的にも無条件にAIだけで芸術を作っていくことは避けたいとは思います。

WWD:韓国発ファッションブランド「ユースバス」でグラフィックデザイナーとしても活躍されている。アパレルアイテムに向けてのグラフィックやイラスト制作で意識していることは?また、意識しているトレンドがあったら教えてほしい。

DAMO:「ユースバス(YOUTH BATH)」では、ファッションデザイナーがいらっしゃるのでその方のデザインに沿ってグラフィックを制作していますが、やはり洋服なので多くの人に良いと思ってもらえるように、自分の好きなスタイルだけにとらわれないようにトレンドや、流行っているスタイルを取り入れる様に努めています。意識している事やトレンドを一つ上げるとするとやはり”Y2K”トレンドの人気が強いので意識しています。

WWD:ソウルでお気に入りのスポットがあったら教えてほしい

DAMO::私は、”ソンス”ではなく“ サンス”が好きです(笑)。ソンスやホンデには流行を追うことに夢中な人が多いですが、サンスには自分のスタイルが明確にある人やお店が集まっているイメージがあります。自分が好きなものや似合うものを良く分かっているような。東京に訪れると古着が好きなので下北沢や高円寺に行くことが多いんですがサンスは東京で例えるなら、多分高円寺っぽい雰囲気があると思います。

WWD:今後一緒に仕事をしたいアーティストやブランドはあるか?

DAMO::日本のインディーズバンドと一緒に仕事をしてみたいです!普段からキリンジ(KIRINJI)を始めとした日本のバンドの音楽を聞くこともあって、すごく詳しい訳じゃないんですが、日本のアーティストたちはやりたいことを自由にやっているイメージがあります。なので、そんな自由に作られた音楽を受け取って、自分が短編アニメーションの様なMVを作ったりしてみたいですね。

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