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急成長するショッピングエリア 「港区マーケット」の可能性を探る

「WWDJAPAN」は9月2日発売号で「港区マーケット」を特集し、大きな反響を得た。これを受けて、12月3日には特集を発展させたセミナーを開催。林芳樹「WWDJAPAN」シニアエディターによる進行のもと、港区マーケットの成功事例として森ビルの栗原弘一・常務執行役員商業施設事業部統括部長とエストネーション(ESTNATION)の大田直輝社長が登壇した。同エリアでの商機を狙うブランドやデベロッパー、小売業のMDなどが受講した、注目のセミナーをリポートする。

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「かつて夜の街としてのイメージが強かった六本木が、ファッションアイテムの売れる商業地に変わった」。冒頭、林シニアエディターは港区マーケットの変化を象徴する六本木について言及した。2003年の六本木ヒルズ開業を皮切りに、街の姿が変貌し、都内でも有数のショッピングエリアへと発展した。
 要因の一つは、職住近接の環境を求める若年富裕層だ。六本木ヒルズに加えて、東京ミッドタウン、近年は虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズが開発され、エリアの魅力が高まった。彼らが移り住み、肥沃な足元商圏が生まれている。銀座や新宿、渋谷に比べて、トラフィック(通行する人の数)は少ないものの、客単価が圧倒的に高い。セレクトショップでは売上高全国1位の店舗が六本木というケースが多い。ラグジュアリーブランドの出店意欲も旺盛だ。

森ビルの“ヒルズ文化経済圏”とは?

数あるデベロッパーの中で港区で存在感を放つ森ビルは、どんな街づくりを行ってきたのか。第1幕では森ビルの栗原常務執行役員が“ヒルズ文化経済圏”を解説した。「世界は都市間競争の時代。東京に中心部を作って都市の『磁力』を高め、企業や経営資源を集中させる場所にしたい」。森ビルは1986年、大型複合施設の先駆けとなるアークヒルズから本格的な街づくりに乗り出した。

商業施設など特定の機能ではなく、あくまでも街全体が魅力を追求し、そのためにどうコンテンツをそろえるべきかを考えるという。現在、それぞれのヒルズが抱える機能は、物販や飲食のほか、オフィスや住宅、美術館、学校・保育園、広場・緑地、予防医療センターなど多岐にわたる。

街づくりは建物を作って終わりではない。住む人、働く人、訪れる人たちの関係を深める日々の取り組みが欠かせない。いま力を入れているのが「ヒルズアプリ」と独自のイベント企画だ。ヒルズアプリは利用者の利便性を高めると同時に、顧客データを集積・分析するツールになっているほか、さまざまな情報発信を通じてコミュニケーションを生む。栗原常務執行役員はその具体的な内容、データ活用、年間1200ほど実施するというイベントの事例を紹介しながら、「これまで売り場としての機能が強かった商業施設は、今後企業が顧客とのエンゲージメントを高める場に変貌するだろう」と結んだ。

六本木ヒルズに21年、「エストネーション」の強さの理由

第2幕ではセレクトショップ「エストネーション」の大田社長が登場した。六本木ヒルズ開業時から21年にわたって旗艦店を構えてきた同社が語る、港区マーケットの本質と六本木ヒルズとの連携した取り組みが面白い。

「投資価値があるか?という視点が、港区マーケットには欠かせない」。大田社長によれば、富裕層は自由に使える資金が潤沢にあるからこそ、“多くのものを買う”よりも“より良いものを選択する”傾向にある。だからこそ、幅広い顧客に刺さる商品を開発するのではなく、特にファッション感度の高いオピニオンリーダーに合わせた価値提供をする。

森ビルの六本木ビルズ担当者とは定期的に商況を共有するミーティングを重ねる。六本木ヒルズ全体の動向を知るだけでなく、「ヒルズアプリ」の会員データも確認することで、潜在顧客の需要を分析し、店頭でのさらなる提案につなげている。「六本木ヒルズ内レジデンスに住むお客さまにとっては、『エストネーション』は重要なインフラの一つだから」と店の存在意義を語った。

講義後には、受講者から「六本木の顧客に対応するために、特別な社員教育はしているか」などの質問が寄せられ、大田社長はていねいに回答した。

セミナーをもっと楽しむ!
特設コーナー登場

「WWDJAPAN」は月1の頻度でセミナーを開催しているが、今回から会場にはセミナーをもっと楽しむためのスペシャルコーナーを用意した。「WWDJAPAN」のバックナンバーのほか、「港区マーケット」特集号の表紙を飾ったウィメンズブランド「ヘンネ(HAENGNAE)」のドレスや、森ビル関連の書籍、麻布台ヒルズの低層棟の設計とデザインを手掛けた「ヘザウィック・スタジオ」の写真集などを展示。同時に液晶モニターも設置し、同スタジオのドキュメンタリーや「エストネーション」20周年を記念して六本木ヒルズ店で実施したファッションショーのムービーを上映した。今後もセミナーの内容にちなんだコーナーを企画する予定なので、ぜひチェックしてほしい。

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WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

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