神社のような“空気を売る”店　“目垢”の付かない空間を求めて【石川・フェートン】

この人は、ここではないどこか別次元の話をしている—石川県加賀市にある「フェートン（PHAETON）」のオーナーであり、ファッツスクエアカンパニーの坂矢悠詞人代表に対峙したら誰もがそう思うだろう。小松駅から車を20分ほど走らせると突如現れる3つの建物は、アパレルアイテムを中心に扱う「フェートン」と、坂矢代表がマンツーマンで接客する予約制プライベートサロンの「ゴトン（5TON）」、同氏が紅茶にハマったことから開店した紅茶専門店「ティートン（TEATON）」だ。これらは坂矢悠詞人という“神主”が建てた神社のような静ひつな空間だ。（この記事は「WWDJAPAN」2025年2月17日号からの抜粋です）

石川

PROFILE: 坂矢悠詞人／ファッツスクエアカンパニー代表

PROFILE: （さかや・よしひと）石川県生まれ。10代のころからアメリカでビンテージウエアの買い付け経験を積む。2010年に「フェートン」を開いて以降、ニッチフレグランス専門店を2店舗、ウィメンズセレクトショップ「リトー（LETO）」などを順次オープンする。19年ごろから、衣食住、旅からつながる学びに重点を置いた雑誌「大勉強」を年2回自社出版している。ベジタリアン歴13年で、意識しているのは「神社参拝や墓参りを欠かさない」こと

加賀に異次元のセレクトあり
神社のような“空気を売る”店

石川県小松市に生まれ、コレクター気質の父とインポート古着を扱うショップを営む母のもとで育った。アメリカ製の「コンバース（CONVERSE）」しか履こうとしない一風変わった小学生だった。週末はJALの格安チケットで東京・原宿に繰り出し、ビンテージアイテムを買う青春時代を送る中、中学生にして行きつけの古着店オーナーからロサンゼルスで買い付けの手伝いをするよう誘われる。それをきっかけにバイイングと販売を手掛けるようになったという。