ミスター、ラルフ・ローレンの次男であるデイヴィッド・ローレンは、これまで“マーチャンテインメント”を掲げ、最新テクノロジーを駆使しながら、デジタルでブランドの世界観を表現してきた。とくに話題をさらったのは、3Dの視覚的エンターテインメント映像に加え、香りを体感してもらう“嗅覚”もプラスした「ラルフ ローレン4D」を旗艦店で披露したことだ。その立役者であり、日本進出となる日本版eコマースサイトのローンチイベントのために来日したデイヴィッド・ローレンに、今後のデジタル戦略を尋ねた。
WWDジャパン(以下、WWD):デジタルマーケティング部門を牽引するデイヴィッド・ローレン氏が描くeコマースを含めたデジタルにおける戦略は?
デイヴィッド・ローレン(以下、ローレン): 45年間、シャツやタイ、ドレスといった商品単体のみならず、「ラルフ ローレン」という“世界”をこれまで築き上げてきた。商品を購入する場合、その“世界”に足を踏み入れることを意味している。ライフスタイル・マーケティングのパイオニアとして、美しい商品を売るだけでなく、ブランドのインスピレーションや広告、ムービーイメージなど、ブランドを構築するあらゆる要素を網羅したドラマティックなコンテンツを我々は“マーチャンテインメント”と呼び、ブランドの真のバリューを伝え、デジタルにできるエンターテインメントの要素を融合し、さらに購入できる“世界”で創り上げてきた。
WWD:具体的な“マーチャンテインメント”のコンセプトは?
ローレン:“マーチャンテインメント” とは、マーチャンダイジングとエンターテインメントにおける、境目のないシームレスなブランディングのこと。商品を売ることと世界観を伝えることを統合的にすることで、さらに強いメッセージを伝えることができる。サイトでは、ラルフ ローレンのスタンダードな装いから最新のトレンドまでをカバーしたスタイルガイドや、ラルフ ローレンのインスピレーションを反映するエピソードや記事を特集したラグジュアリーなライフスタイルマガジンのコンテンツも充実し、ブランドの世界観を体現できる。壁紙やシャンデリアまでこだわっているんだ。
WWD:日本版eコマースサイトのローンチにあたり、世界でも初となるヴィンテージ商品が登場したがその理由は?
ローレン:サイトでは、ブランドのショーケースとして、ウィメンズ、メンズ、キッズからアクセサリーまで、アメリカンライフスタイルを体現する最新の商品がラインアップしている。一方で、45年もの間にブランドを愛してくれる、情熱を持った人たちが増えていく中でその方たちのためのコンテンツも作りたかった。日本にたくさんのコレクターがいることに感謝している。彼らと話をしていく中で、ヴィンテージ商品もラインアップに加えようと思った。それはブランドの歴史を理解するうえでも、とてもすばらしいこと。それはまさに、購入できるミュージアムのようでもある。我々のサイトを訪れることで、まるでその中を旅しているかのような、エキサイティングな気持ちになってもらいたい。