バロックジャパンリミテッドは9月9日に「エンフォルド(ENFOLD)」、翌10日に「マウジー(MOUSSY)」の単独路面店をニューヨークにオープンした。いずれも内装はアップルストア旗艦店などを手掛けるボーリン・シウィンスキー・ジャクソンがデザインした。
開店に合わせて来米した村井博之バロックジャパン社長兼最高経営責任者(CEO)は、「ニューヨークは景気が悪いと言われているが、逆に景気がいい時は参入障壁が高い。人が撤退するときは進出のチャンス。そうやって日本でも市場を広げてきた。対面して売る直営店、eコマース、卸の問題点を整理しながらゆっくり成長させる。3年目までに売上高10億円を目指す」と話す。
ソーホーに出店した「マウジー」は、隣にトゥモローランド、近隣に「ラグ & ボーン(RAG & BONE)」などの店がある。売り場面積は165平方メートルで、強みであるメード・イン・ジャパンのデニムを軸に商品を構成した。内外価格差はデニムの大半が約1.7倍で価格は3万5千円前後、一部プレミアム商品は4万~5万円代のものあり、その他のアイテムが約1.5倍になる。競合について、深澤哲人・上席執行役員兼営業統括本部長兼海外事業部長は「ブランドとしての競合はいない。デニムは『ラグ & ボーン』や『フレームデニム』、『アクネ ストゥディオズ』などプレミアムデニムと戦えると自負している。もう少しリーズナブルな他のアイテムは、グローバルSPAを想定している。両方のターゲットを獲得していきたい」とコメント。内装は “ホワイト×ウッド”“ビンテージ”“アールデコ×ジャポン”をキーワードにデザインし、直線と丸を効果的に用い、和を感じさせる空間に仕上げた。ソーホーを選んだ理由は「家賃と広さがマッチした。観光客も多くアジアからの来客も期待できるから」。直営店の他、eコマースにも力を入れる。11月には、英語対応の越境できるものに刷新予定だ。「マウジー」は16年春夏から本格的に海外での卸事業をスタートし、16-17年秋冬現在、米ロンハーマンや米アメリカンラグ シーなど57店舗に広がった。「海外での販路が広がり挑戦するタイミングがきた」。今後さらに強化する米国卸売りするにあたり、日本で行っているファスト型ではなく14カ月前倒す新たなサプライチェーンを構築し、米国のファッションビジネスのサイクルに合わせ、企画・生産・調達する。
一方、「エンフォルド」はすでにパリに出展し卸をスタートしているため、生産サイクルの前倒しは調整済みだ。NY直営店の場所には、「マーク ジェイコブス」などがあるウエストビレッジを選び、売り場面積は79平方メートル。“再構築”“未完成”“リユース”“パーク”“アート”をキーワードにしたショップは、グリーンのインスタレーションをしたウインドーが印象的だ。ウインドー前にはベンチも設置した。「店の前には公園があり、その緑を生かした店にしたかった」と植田みずきカンパニー・クリエイティブ・ディレクター。場所は「NYに住む方に買って欲しいと思い、昔から住んでいる人が多い地区としても知られるブリーカーストリートを選んだ。NYの女性は日本の女性とライフスタイルも近く感覚が似ていると思う。求める服も似ていると考えた」。開店当初は日本同様の商品構成で臨み、内外価格差は1.5倍程度になる。「何が求められているのかを探り、日本同様にローカライズしていく店にしたい」。ウエストビレッジ店としたのは「NYに2〜3店舗開けたいから。イメージショップとしてではなく結果を出したい」からだ。「エンフォルド」は現在日本国内に6店舗の直営店と約60の卸先を持つ。