「アバクロンビー&フィッチ(以下、アバクロ)」が、ホリデーシーズンのキャンペーンビジュアルを公開した。従来のイメージとは異なる、“性的アピール”を売りにしない同ブランドにとっては革新的なビジュアルだ。
これまで「アバクロ」のビジュアルと言えば、白人の若者が上半身裸で鍛え上げた筋肉を披露するようなイメージが多かったが、今回は人種も服装もさまざまでパーソナルなスタイルを打ち出している。撮影はジョシュ・オリンズとマット・ジョーンズが手掛け、スタイリングは長くブランドのパートナーを務めるデボラ・ワットソンが担当した。マーケティング部門でブランド初のクリエイティブ・ディレクターを務めるアシュリー・サージェント・プライスは、「大胆なキャンペーンになった。われわれが変わりつつあること、そして新しいブランドの理想像を見せたかった」と話した。
親会社アバクロンビー&フィッチのフラン・ホロウィッツ社長兼チーフ・マーケティング・オフィサーは、このビジュアルをブランドイメージ刷新の一環と語る。どんな消費者にも手が届き、楽しめるブランドへと方向転換を図ることで、ミレニアル世代の消費者に向けた訴求力を強化していく考えだ。「(今回のビジュアル発表は)ブランドにとって新しい『アバクロ』を披露する良い機会になる。コレクションも進化したものを見せていく。今後わくわくするような新しいことをまだまだ発信していく。誰にでも手が届く、楽しいブランドになる」。
一方でこうしたブランド戦略に懸念の声もある。リサーチ会社Aラインパートナーズのアナリスト、ガブリエラ・サンタニエッロは、「『アバクロ』は年齢層が上の顧客たちを店舗に取り込めていない。ターゲット層の変更により、真の顧客だったティーンたちも流れてしまった。難しい状況だ」とコメント。リニューアル後の製品については「素晴らしい。フランネルシャツも良くなったし、ジーンズのフィット感も改良された。『アバクロ』はもともとグラフィックTシャツが全てだったが、ブランドとして分岐点にある今、誰に向けて訴求しているのかということは疑問だ」と話した。