アッシュ・ペー・フランス(H.P. FRANCE)は先月、フランス・パリ生まれのアーティストであるナタリー・レテ(NATHALIE LETE)の世界初のオンリーショップ、ル・モンド・ドゥ・ナタリー(LE MONDE DE NATHALIE)を、表参道と青山通りを結ぶ“青参道”にオープンした。ナタリーは絵本やセラミック、テキスタイルなどさまざまな作品を手掛けるアーティスト。米ライフスタイル・ブランド「アンソロポジー(ANTHOROPOGY)」や「ゴディバ(GODIVA)」、フランスのスーパーマーケットであるモノプリ(MONOPRIX)などとコラボレーションしており、世界中からコラボのオファーが絶えない。ショップのオープン時に来日したナタリーに、彼女のインスピレーション源や東京でのお気に入りスポットなどについて聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):自分のオンリーショップが出来た感想は?
ナタリー・レテ(以下、ナタリー):ショップというよりは、私の世界観を表現した小さな家のようなものね。オリジナル作品や私がここで描いた絵などが、時とともにどのように変化するか見たいわ。今後のコラボのきっかけになってくれると嬉しい。
ル・モンド・ドゥ・ナタリーのリビングルーム。陶器やラグなどさまざまなアイテムがそろう
WWD:アーティストになりたいと思ったのはいつか?
ナタリー:子どもの頃からよ。フランスでは学校が終わったら、絵を描いたり、陶芸といったアクティビティがあるの。その時間によく絵を描いていたわ。
WWD:インスピレーション源は?自分の作品を通じて何を表現したいか?
ナタリー:私の父はギャンブル好きの中国人で、母親は病気がちだったから、子ども時代は幸せではなかったの。やりたいと思ったこともできなかった。それで、絵などの作品を通して理想を表現するようになったの。いじわるな人がいたら、それをオオカミに例えたりしたわ。つらい子ども時代を乗り越えるために絵などを通して空想し、そんな現実に負けず強くなりたいって思ったの。
小さなベッドルームにもナタリーの人形などが置かれている
WWD:今でもその気持ちは同じか?
ナタリー:私の作品を通して人を幸せにしたいと思う。今まで、自分の子ども時代を語らなかったけど、日本の人々はとても繊細で優しいから話したの。ある意味、子ども時代の気持ちを表現することで、現実に起こっていることから自分を守りたいって思うわ。大きなコクーンの中にいたいの。
WWD:あなた自身の作風やお気に入りのモチーフは?
ナタリー:両親が違う文化背景でしょう。だから、違ったものをミックスしたりコラージュするのが好きよ。コントラストに美しさを感じるの。もちろん、花や動物も大好きよ。
WWD:クリエイションの過程で一番楽しいのは?
ナタリー:コラボレーションの場合は作品が出来上がって、喜んでもらえた時。それは、チャレンジでもあるけれど・・・。コラボじゃない場合は、自由にクリエイションできる幸せを感じるわ。本を3冊並べて、その中から3つのイメージを抜きだしたり、雑誌を切り抜いてブックにするのも好き。最近はコラボで忙しくって、たまに、私の事を忘れてほしいって思うこともあるわ。
WWD:あなたのクリエイションのスタイルは?
ナタリー:カラフルで感情を沸き立たせるようなものであって欲しい。ポエティックでユーモラス、そしてナイーブなところもあるわね。
WWD:影響を受けたアーティストは?
ナタリー:ポスト印象派のピエール・ボナールが大好き。内面を映し出している絵だと思うから。カラフルな色使いで家族や幸せな時を美しく表現しているわ。
ショップオープンを記念してアッシュ・ペー・デコにナタリーの原画100点が集結し
WWD:今後のコラボなどの予定は?
ナタリー:来年、モノプリのために大きなコレクションを手掛けるわ。80点以上の、服やホームアクセサリーをデザインするの。アメリカで私の夢の庭に関する本を出版する予定よ。それは「アンソロポジー」のショップで先行販売される予定。
WWD:日本で必ず行く場所やお気に入りのものは?
ナタリー:根津美術館や浅草にある東京おもちゃ美術館に行くわ。庭に興味があるから、お寺や墓地を散歩することも。必ず買うものは日本製のソックス。それから、お蕎麦や抹茶も買うわ。