バロックジャパンリミテッドは、セールの縮小によるブランディングと安売り競争からの回避策を打ち出した。「今期は記録的なアパレルの売り上げ不調で、(10、11月などから)セールを前倒しで行っているところが多い。われわれは、来年、再来年と海外を含めて大きな成長をするために、(極力)セールをしないでブランドを守っていく」と村井博之・社長。
商品を多めに生産・投入し、余ったらセールにする方式では、売り上げは取れるが利益が残らないと指摘。「第3クオーター(8~10月)の売り上げは落とすことは分かったうえで、一本勝ち(通期での増収増益)を収める」ために、昨年に比べて11月の商品投入を大幅に削減。12月にコートを中心に一気に商品を積み込んだという。安売り競争に巻き込まれたくないという思いと、超実需型の消費動向も考慮したと明かす。
セールに関しても、「1月も年始だけで、中旬からは完全プロパー展開にする」と断言。10月、11月から値引きを始めるなどセールの早期化、長期化の流れがある中で、「直近のトレンドを逆手に取る。どっちみちセールは安くしても手が出ないなら、セール期間を短くすればするほどいい。この結果を、みなさん、とくとご覧いただきたい」と呼び掛けた。
なお、バロックジャパンリミテッドの2016年2~10月期の9カ月決算では、売上高は490億円(2.7%増)、営業利益36億円(12.7%減)、経常利益34億円(19.5%減)、親会社に帰属する当期純利益は22億円(16.4%減)だった。「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」や「ロデオクラウンズ(RODEO CROWNS)」などを中心に出店が順調に進んだSCブランドは3.8%増、「エンフォルド(ENFOLD)」を中心としたセレクトショップ・百貨店ブランドは34.1%増、海外は中国の出店が順調で22.2%増と好調だったが、「マウジー(MOUSSY)」「スライ(SLY)」などの国内のファッションビル・駅ビルブランドは前述の収益率改善に注力したことや、戦略的に値ごろ感のある商品を投入したが客単価下落を客数増でカバーできなかったため、8.8%減となった。