三陽商会は14日、2019年12月期を最終年度にした中期経営計画を発表した。数値目標は売上高650億円(16年12月期実績は676億円)、営業利益20億円(同84億円の赤字)に設定する。15年6月末に契約終了した「バーバリー(BURBERRY)」事業によるダメージが、想定を大きく上回ったため、当初発表していた中計を取り下げて、約半年をかけて策定し直した。同社にとって売上高の7割を占める百貨店の市場縮小を見据え、ECやショッピングセンター(SC)での事業拡大に乗り出す。
14日に会見した岩田功・社長は「直営・ECにリソースを集中させる」と話した。17年から19年にかけてSCの直営店で年平均成長率14.7%、ECで同23.6%を見込む。
直営店では都市型SCを中心に15店舗の出店を計画する。「ギルドプライム」などの既存事業だけでなく、「最低でも3~4の新規事業を立ち上げる」考えだ。百貨店に偏った売り上げ構成の同社にとって20~30代の若い世代の獲得は長年の課題だ。これまでもファッションビルなどに直営店業態で挑んだこともあるが、「ギルドプライム」を除けば成功事例は少なく、撤退したブランドも多い。それでも岩田社長は「失敗の経験も生かせるはず。モノ作り、MD、価格設定などうまくいかなかった理由を分析し、一つ一つつぶしていく」と再チャレンジに意欲を見せる。
ECの売上高は16年の実績42億円を19年に80億円に倍増させる。インフラ面の充実や訴求活動によって伸びしろは大きいとみる。利益率の高いECは、全社の収益への貢献が高いため、特に力を入れる。
M&Aも視野に入れる。岩田社長は「新事業領域は幅広く考えている」とし、EC企業や若者向けブランド、雑貨ブランドなど、同社が苦手にする分野、あるいは有望とみる分野の企業に狙いを定める。すでに昨年10月、エシカル・オーガニックブランド「スキンウエア」を展開するAWAに出資している。
新規事業に力を入れるものの、既存の百貨店向け事業の置かれた状況は厳しい。「バーバリー」を失ったことによる減収に加え、後継ブランドとして期待していた「ブルーレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL CRESTBRIDGE)」「ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON)」も当初計画を下回った。今年2月末と8月末で計6ブランドを廃止。15年末に1478あった売り場は17年末に1060になる見通し。リストラと新事業の拡大を併行し、まずは18年12月期での営業黒字を目指す。
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