今最も勢いのあるブランドの多くが、"美容先進都市"と呼ばれているロサンゼルスやニューヨークではなく、テキサス州でスタートしている。スキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」や美容機器ブランド「グロープロ(GLOWPRO)」、UVケアブランド「スーパーグープ(SUPERGOOP)」など、話題のビューティブランドがテキサスで創業し、現在も本社を構える。テキサスが、次世代のビューティブランドが集まるハブになりつつある。
テキサスに若手ブランドが集まるにはさまざまな理由がある。ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコから3時間で行くことができる立地の良さの他、好景気や州所得税がないことによりビジネスをスタートする人が多いという。また、クリエイティブな人材がダラス、ヒューストン、オースティン、サンアントニオの都市に集まっている。従来のビューティやファッションの中心都市と離れた環境で、フレッシュなアイデアが生まれやすいという意見も。さらに、ニューヨークやロサンゼルスに比べ、土地があるのも大きなポイントだ。「グロープロ」を運営するビューティ ビオサイエンス(BEAUTY BIOSCIENCE)のジェイミー・オバニオン(Jamie O'Banion)共同創設者兼最高経営責任者は「テキサスでは、土地が大きな財産になっている。ニューヨークだったら研究所で開発した商品を別の州にある倉庫に輸送し、そこから全国に発送しなければならない。テキサスでは約9000平方メートルの倉庫がすぐ近くにあることで、無駄な輸送コストや時間を省くことができる。われわれが市場のニーズに素早く反応できるのも、この効率の良さが大きい」と語る。
5月9〜11日にダラスで開催された「インディ ビューティ エキスポ ダラス(INDIE BEAUTY EXPO DALLAS)」でも、オースティンやダラスで富裕層や高学歴の人材が年々増え、ビジネスを始める実業家が集まっていることが明らかだった。インディ ビューティ メディア グループ(INDIE BEAUTY MEDIA GROUP)のネーダー・ナイミラド(Nader Naeymi-Rad)共同創設者は「以前は、ニューヨークやロサンゼルスで始業したり、大手にアイデアを提案する人が多かった。次世代のビューティブランドは、テキサスで独自にブランドを育て、税も低いローカルなマーケットでビジネスを確立する人が多い」と解説した。