「インターネットは、混乱の温床だ。ブランドの価値やイメージを下げる元凶になりかねない」——。イタリアのラグジュアリー・ブランド「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」を創業したブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)会長兼最高経営責任者(CEO)が、2017年度上半期決算の会見で息巻いた。
クチネリ会長兼CEOは、「インターネットはすばらしいものだが、あまりに複雑だ。数え切れないほどの文章やイメージ、それにデータに翻弄されると、物事の本質、特に魅力を見失いかねない。あの世界には、毎回同じことを、同じように叫び続ける人が存在する。人間、特にリーダーは本来、『ここぞ』という時だけ、限られた人たちにだけ声をあげた方が良いのに、ネットは真逆の世界だ」と続ける。
とはいえ、クチネリ会長兼CEOは、ネットに全面反対しているワケではない。むしろ「ブルネロ クチネリ」は今年、ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP)とのパートナーシップを解消して、自分たちの手でECサイトをリニューアルオープンしたばかり。新たなECサイトでは、特別なギフトラッピングや拠点を構えるイタリア・ソロメオ村で作ったオリーブオイルや小麦粉、博識なクチネリ会長兼CEOが選ぶ書籍のプレゼントなど、温かみのあるサービスを心掛ける。「手描きのメッセージカードを添えるなど、フレンドリーであり続けたい」という。
会見で発表したブルネロ クチネリの2017年度1~6月期決算は、売上高が前年同期比10.7%増の2億4300万ユーロ(約315億円)、純利益が同10.6%増の1990万ユーロ(約25億8000万円)と増収増益だった。全地域、全チャネルで売り上げは前年を上回った。通期でも前年比10%以上の増収、増益を見込む。