映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)のセクシャル・ハラスメント問題について「ダナ キャラン ニューヨーク(以下、DKNY)」創業者のダナ・キャラン(Donna Karan)が、「現代の女性は服装で自分の要求や主張を表現している。何を要求しているかって?トラブルよ」と、被害女性にも原因がある旨の発言をしたことがメディアに大々的に取り上げられ、「DKNY」の不買運動や株価下落など、大きな影響を及ぼしている。
一連の騒動に対してキャランは、発言の一部を切り取られ、ニュアンスをゆがめられて報道されたと釈明し、誤解を与えた発言について謝罪したが、バッシングは続いている。これまで、 “要求している”と称したようなセクシーなデザインを数多く発表してきたキャランはなぜこのような発言をしたのか?その真相を米「WWD」がキャラン本人に独占インタビューした。
WWD:ハーヴェイについて、正確には何と質問されましたか?
ダナ・キャラン(以下、キャラン):ハーヴェイ問題について私がどう思ったか。私は混乱してしまったの。今回のニュースを全く追っていなかったし、そこかしこから断片的に情報が入ってくる。正直に言って、今回の話は私がコメントする立場ではなかったわ。
WWD:でも、実際にコメントを出しましたよね?
キャラン:私はハーヴェイに関する話をしたつもりは断じてなくて、一般論として女性の体に不当に触る権利はないと言ったの。
WWD:実際の発言内容は違いますよね?話を戻します。あなたはあの日、レッド・カーペット上で「ハーヴェイ・ワインスタイン問題についてどう思うか?」と聞かれましたよね。もし何が起きているか知らなかったのであれば、詳細を確認すべきだったのではないですか?
キャラン:ウワサをちょっと聞いていたから詳細の確認はしなかったの。でも今回の問題の全容を把握していたわけではないわ。完全にうわさレベルの話だったし、それについてコメントを出したくなかった。だからごまかそうとしたの。私は本人とも妻のジョルジーナとも面識があったからコメントするのにすさわしくなかった。だから何とか逃げようと思ったのだけど、結果として、セクハラに関するコメントをしてしまった。
WWD:でも、あなたは「現代の女性は服装で自分の要求や主張を表現している。何を要求しているかって?トラブルよ」と言ったのです。これはセクハラに対する見解ではなく、ハーヴェイにセクハラを受けた被害者を非難する発言ではないですか?
キャラン:頭で考えていたことと違うことが口から出てしまったの。被害者を非難するつもりはなかった。ハーヴェイに関してコメントを避けようとするあまり、抽象的になってしまって……本当に申し訳ないです。私自身が40年間も女性のセクシャルな側面を強調するデザインを発表してきたのに。
WWD:そうですね。
キャラン:私の発言は不適切だったし、そんな発言をすべきではなかった。発言した日はイタリアとイギリスを訪問した後でかなり疲れていたの。本当は回答をきちんと用意していたのに思ってもいないことが口から出てしまった。だからその後、自分が何を言ったか理解した時に驚愕したわ。本当に、あんなことを発言してしまって後悔しています。
WWD:あなたのような人がなぜ、あんな発言をしたのか、人々は理解できないのです。そのことをあなたは理解していますか?
キャラン:なぜあんな発言をしてしまったのか、説明をつけるのだとしたら、私の“母性”から来る発言だったのだと思います。怖くなってしまったの。
WWD:怖い?
キャラン:女性が被害に遭っているという事実に恐怖を感じたし、怒りを感じたの。
WWD:ハーヴェイ夫妻を知っていると言いましたが、どの程度の知り合いでしたか?
キャラン:妻のジョルジーナ、とは彼女がファッション業界に入ってくる時にハーヴェイを通じて知り合ったわ。彼女はとてもエレガントな女性。ハーヴェイは知り合いだけど親しい友人ではなかった。彼の映画の公開時に顔を合わせる程度でした。
WWD:ハーヴェイのセクハラに関するウワサは知っていましたか?
キャラン:細切れに聞いていた程度です。
WWD:問題が公になる前は?たくさんの人が彼のセクハラは“公然の秘密”だったと証言していますが?
キャラン:本当に、一度も、聞いたことはなかったわ。
WWD:あなたはご自身の名前が付いたブランドから手を引いていますが、株価の下落など、悪影響が出ていることは知っていますか?
キャラン:本当に申し訳ないと思っています。私にできることなら何でもする用意があります。私が手を引いたことを知らない人がたくさんいることは理解している。だからこそ、「ダナ・キャラン」という名前の信頼性を保つことが私の仕事だったのに。
WWD:ハーヴェイの被害者に言いたいことはありますか?
キャラン:なんて言ったらよいか分からないわ。彼女たちのためなら何でもします。この問題を公にした被害者たちは本当に勇気のある人たちで、こういう女性たちこそ、みんなが愛している女性像だわ。私の発言でこの問題が大きくなってしまったことに本当に申し訳ないと思っているし、セクハラ問題の解決は長い道のりだと思うけれど、私はサポートしていきたい。