トランプ大統領がユタ州にある国指定保護地域の範囲を大幅に縮小すると発表したことに反対した「パタゴニア(PATAGONIA)」が、自然保護活動団体が提起した訴訟に参加したことで、同ブランドの売り上げが上がっているという。
保護地域は約52億6000万平方メートルに及ぶ広大な土地で、ネイティブ・アメリカンの集落などが残っている。トランプ大統領は40億4600万平方メートル以上を保護指定から外すことを発表した。最終的に保護範囲は現在の15%程度しか残らないという。
ユタ州知事が3月に、同地域の保護指定を無効にするようトランプ政権に要請する決議に署名した際にも、「パタゴニア」はユタ州で年2回行われる見本市、アウトドア・リテイラー・ショー(Outdoor Retailer Show)に参加しないことを表明した。今回、トランプ大統領の発表を受けて「パタゴニア」は公式サイトのトップページに“大統領があなたの土地を盗んだ(The President Stole Your Land)”と表示するなど、違法性を訴えた。同ブランドの一連の活動が一部の消費者から支持を得て、「ブラックフライデー」や「サイバーマンデー」の「パタゴニア」商品の売れ行きは日ごとに上昇。訴訟参加を表明した翌日の12月5には、卸先での売上高が通常日と比べて24%増、6日は同49%増となったという。
SNSでも「パタゴニア」の商品を買うことを推奨する投稿が増え、ブランドに対する支持が高まっていることがうかがえる。また、同ブランドが投稿した訴訟に関する投稿には23万3000の「いいね」と1万1300のコメントが付いた。これは同ブランドの投稿で最大の反響だった。
この動きはトランプ大統領が所属する共和党を動かした。共和党が主導する天然資源に関する下院委員会は「パタゴニア」が発信したメッセージに似せて、“パタゴニアはあなたを騙している(Patagonia is lying to you)”と投稿し、「大手企業が保護指定範囲に関する論争を利用して売り上げを伸ばそうとしている」と非難した。
「パタゴニア」のスポークスウーマンからは売り上げに関する数字は得られなかったが、共和党の行為について「明らかに不適切な行動だが、われわれは引き続き保護地域を守ることに力を注いでいく」とコメントした。