「ランコム(LANCOME)」は24日、女性起業家を支援する復興支援活動「Eyes for Future by ランコム」の2018年度プログラム開講式を宮城県石巻市の石巻専修大学で行った。会場にはジャーナリストの池上彰も来場。「女性が自立することで地域復興につながるだけではなく、男性や子どもの自立も促す」と、受講生17人に力強く語りかけた。
「ランコム」の東日本大震災復興支援は、震災年の2011年に、マスカラ1本につき100円を被災地に寄付する活動からスタート。13年からは未来の復興を見据え、NPO法人石巻復興支援ネットワーク「やっぺす」と共に、女性の自立をサポートするプログラムを開始した。これまでに124人の女性が同プログラムを受講し、起業の道を歩んでいる。
18年度は損益計算などを学ぶ財務講座やアイデアを構造化するプレゼンテーション講座など、ビジネスの基礎を身につけるプログラムを用意した。以前はアロマテラピストとして活動していたという受講生の高島悠子さんは2歳の娘を連れて参加。「出産や育児で自分のことが何もできなくなっていた。今年はここで学んで、自分のこともしっかりやりたい」と笑顔を見せた。
また、「具体的なことはこれから」と語る同じく受講生の本多みよこさんは、「今思っているのは人が集まれる場所を作りたいということ。震災前からもコミュニティーが希薄になっている気がしていたが、震災後、それがより顕著になってしまった。震災で街がなくなり、今まで住んでいた方はいなくなって、復興後に新しく住み始めた人もいるけど顔は見えない。だから今、みんなで挨拶しあえるような場所を作って、人と人がつながっていける場所を作りたい。そのために、私にできることは何なのかを学びに来た」と語った。
そんな女性たちの志に、池上は「起業家を作っていこうという取り組みは非常にユニーク。1歩踏み出す勇気が持てたという人は多いと思う。1人1人が起業すれば雇用が生まれ、取引先が生まれ、地元の経済が潤う。復旧は以前のように戻すだけだが、震災前になかったことが生まれる。これぞ真の復興だろう」とコメント。菊池由美子ランコム事業部 PR / メディア統括部長は開講式で「今年で8年目を迎え継続して活動してきている事に大きな誇りを感じている。ぜひそれぞれの個性を輝かせ、秋には大輪を咲かせてほしい」と受講生の今後の活躍に期待を寄せた。