皆さん、おはようございます。取材先のバーゼルと、滞在先のチューリッヒ。その道中の1時間で、書ける限りの記事を書いてみようという時計連載の第4回、今回は「
オメガ(OMEGA) 」でいってみましょう。
突然ですが、皆さんの「オメガ」のイメージって、なんですか?「映画『007』シリーズ」という大人もいるでしょうし、「オリンピック」というスポーツファンもいるでしょう。そのほか「アポロ」「ダイバーズ」と答えるアナタも正解。「オメガ」は、世界最大の時計企業スウォッチグループ(SWATCH GROUP)のメガブランド。多くのファンを抱えているので、いろんな顔があるんです。
ちなみに僕が最近驚いたのは、レディス時計の“トレゾア(TRESOR)”。クォーツのレディス時計は、正直「オメガ」から出てきたとは思えないくらい(⁉︎)、ファッショナブル!!クォーツで価格を抑えた分ベゼルはダイヤで彩られ、とても美しいのです。オメガのレイナルド・アッシェリマン(Raynald Aeschlimann)社長兼最高経営責任者は、「“トレゾア”は、時計でありアクセサリーだ」と話します。このブランドから、そんな言葉が飛び出すなんて、驚きでした(笑)。“トレゾア”の広告ビジュアルは驚きのモノトーン!!くわえてモデルはシンディ・クロフォード(Cindy Crawford)の娘、カイア・ガーバー(Kaia Gerber)で、撮影はピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)でした。というように最近、「オメガ」は「ファッション」という顔も有しています。
実用性に優れた“シーマスター ダイバー 300M マスター クロノメーター”
で本題に戻って「オメガ」のイメージですが、それはやっぱり「実用」である。今回のバーゼル取材で、それを改めて痛感しました。「実用」っていうと華がなかったりダサいイメージを抱く人もいるかもしれませんが、時計はやっぱり使われてナンボ。そして、それを極めようとする姿勢は、やっぱりとても偉大なのです。
「オメガ」の実用を極めようとする姿勢は、何も今年、いきなり始まったワケではありません。例えば最近は、機械式時計にとって最大の敵と言っても過言ではない磁力に屈しない構造を開発したし、現在は従来基準よりずっと厳しい業界基準を自ら定め、ほとんどの時計をそれに合格するクオリティに底上げ中です。ただ今年は、その姿勢がもっと色濃く現れていました。今年最大のトレンドであるダイバーズウオッチを代表する“シーマスター”のお話です。
この“シーマスター”、中のムーブメントがスゴいのはもちろんですが、外装やブレスレットにおいてもユーザーのことをとことん考えています。もうね、マジ卍(←使い方、間違ってますねw)。いや、マジでヤバいくらいにこだわっているんです。例えばベゼルは、衝撃に耐えられるようセラミックを用いていますが、「視認性」を高めるため、そこにはエナメル使って数字をプラス。手間もお金もかかる技巧ですが、「ベゼルと文字のコントラストが強調されて、暗い海を潜るダイバーにとって数字が見やすくなれば」と一手間を惜しみません。デザイン性も向上しました。
そして、ブレスレットの後ろには、押すだけでちょっとだけブレスレットが延長できるボタンをプラス。ブレスレットを延長するのは、ウエットスーツを着て、腕がちょっとだけ太くなったダイバーのことを考えた工夫です。
さらにシリコンベルトでは、ベルトを通すループの1つをラバーコーティングしたチタン製に変更。強度を大幅に高めることで、ベルトを通したり抜いたりするうちにブチっと切れてしまうような事故を防ぎます。
とまぁ、「“シーマスター”のデザイナーさん、アナタ、さては相当なダイビングオタク?」と思ってしまうくらい、ユーザーフレンドリーな工夫が満載なんです。これぞ「オメガ」のコアバリューである「実用性」。機構やダイヤルなどの語られがちなパーツ以外にもキチンとこだわる、プロ意識を感じます。なのにお値段は、従来品と大きく変わらない50万円代前半から。上述の通り、中の機構も向上したし、まさに「一生モノ」の時計でしょう。
2032年には、オリンピックの公式タイムキーパーを務めて100年を迎える「オメガ」。もちろん、東京オリンピック・パラリンピックだって「オメガ」がいなくちゃ成り立ちません。スポーツの祭典とこれほど長い関係性を築けるのは、大きなブランドできっと大金を払っているのはもちろんでしょうが(笑)、「オメガ」の「常によい時計を」という愚直な考えがあるからこそ。だからアスリートは、安心して競技に打ち込めるのでしょう。