一連のセクハラ疑惑について調査を受けたポール・マルシアーノ(Paul Marciano)=ゲス(GUESS)共同創業者兼エグゼクティブ・チェアマン兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーが、6月11日にエグゼクティブ・チェアマンを辞任した。また、同氏は任期が満了する2019年1月30日までに、ヴィクター・へレーロ(Victor Herrero)最高経営責任者にチーフ・クリエイティブ・オフィサーとしての職務とその他の責任を完全に引き渡し、任期満了時に契約を更新しないことを取締役会に確約した。
マルシアーノは、同氏からセクハラを受けたと訴える5人の人物に計50万ドル(約5450万円)を和解金として支払うと明らかにした。ゲスが12日に米国証券取引委員会に提出した報告書によると、同氏の責任や落ち度を認めたわけではないが、訴訟に進むことで生じるコストを回避するために和解を選択したとされている。
マルシアーノに対するセクハラ疑惑は、女優ケイト・アプトン(Kate Upton)の訴えにより明らかになった。アプトンが2月に「タイム(TIME)」誌に語ったところによれば、10年7月に「ゲス」のランジェリーキャンペーンの撮影に参加した際に、マルシアーノに胸をわしづかみにされるなどのセクハラ行為を受けたという。2回目の撮影時にはマルシアーノからホテルの部屋に来るよう執拗に要求され、その翌日にアプトンは撮影から外された。所属事務所はアプトンが太りすぎたためだと「ゲス」側から説明を受けたという。「ゲス」の数多くの広告を手掛ける写真家のユー・サイ(Yu Tsai)もアプトンの話を認めていた。
ゲスはこの訴えに対し、特別委員会を結成してマルシアーノに対する疑惑を調査していた。特別委員会は、40人以上にインタビューした他、Eメール、人事および法的書類、写真、請求書、SNS、旅程表やその他の書類など、約150万ページに上る文章を調査したという。その結果、特別委員会は「多くの訴えについて確固たる証拠は得られなかった。何人かの個人がインタビューを受けることを拒否したか、提供された情報が不十分だったために結論を得ることはできなかった。両者に関する信頼できる報告も得られた。マルシアーノは、深く考えずにモデルやカメラマンとコミュニケーションをとった結果、その不適切な行為を訴えられた」と結論を出している。
同社の株式15.6%を所有しているマルシアーノは、調査開始から無給休暇を取っていたが、任期が満了するまで会社の職務に戻る。任期満了後も取締役会にはとどまる予定だ。