経営破たんした「カルヴェン(CARVEN)」を上海企業アイシクル・ファッション・グループ(ICICLE FASHION GROUP以下、アイシクル)が傘下に収めることが明らかになった。アイシクルは来週中にも、5月に日本の民事再生法に相当する法律の適用をパリの商事裁判所に申請し、複数の企業が買収に興味を示していた「カルヴェン」を手中にする。買収額は数百万ユーロ(数億円)になる見込みで、フランスの商事裁判所の許諾が必要になる。「カルヴェン」は、コメントを控えた。
アイシクルは、1997年に葉寿増が創業。葉・創業者は中国有数のデザインの教育機関、上海の東華大学で教壇に立っていた人物で、環境に配慮したメンズ&ウィメンズブランドを手掛ける。「コス(COS)」のようにミニマルなデザインが特徴の「アイシクル」は、1500ドル(約17万1000円)にも及ぶ高額品も販売するが、現在、中国本土に100を超える店舗を有している。ブランドは現在、セカンドラインのローンチを検討しており、「カルヴェン」買収のメリットは大きいと考えているようだ。
関係者は、「(この買収は)中国の投資会社フォースン インターナショナル(FOSUN INTERNATIONAL)によるランバン(LANVIN)の買収とは異なるもの。フォースンは数年で『ランバン』の価値を増し売却するだろうが、アイシクルは買収後、それに勝る額を『カルヴェン』に投資し、メゾンを再興するだろう」と語る。「カルヴェン」買収で国際的な地位を高め、「アイシクル」の海外進出も模索したい考えのようで、すでにその第一歩はパリになるだろうと言われている。
香港に拠点を置くブルーベル グループ(BLUEBELL GROUP)が筆頭株主だった「カルヴェン」は現在、100人程度の従業員を要する。年商は2000万ユーロ(約26億4000万円)程度のようだ。