「MCM」がグローバル・クリエイティブ・オフィサー職を新設し、ダーク・ショーンベルガー(Dirk Schonberger)を指名した。
ショーンベルガーはドイツ出身。ミュンヘンのエスモード(ESMOD)で学んだ後、ベルギー・アントワープの「ダーク ビッケンバーグ(DIRK BIKKEMBERGS)」で3年間アシスタントを務めた。1996年には自身のブランドを立ち上げメンズラインをスタート。2002年にはウィメンズラインも発表した。07年にはドイツのブランド「ジュープ(JOOP)」のクリエイティブ・ディレクターに就任し、10年から「アディダス(ADIDAS)」のクリエイティブ・ディレクターを務めた。「アディダス」ではリック・オウエンス(Rick Owens)やラフ・シモンズ(Raf Simons)、カニエ・ウェスト(Kanye West)らとのコラボレーションコレクションを手掛け、“スタンスミス”などビンテージスニーカーの人気復活に貢献した人物だ。その他にもザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のミック・ジャガー(Mick Jagger)やキース・リチャーズ(Keith Richards)、U2のボノ(Bono)のライブ衣装を手掛けた。
「MCM」の親会社である韓国のソンジュグループ(SUNGJOO GROUP)は、「グローバルなクリエイティブ戦略のリーダーシップをとることに期待する」と述べ、ベルリンにデザインスタジオを新設。ミレニアルズやジェネレーションZの顧客に訴求していくことを目指す。また、ショーンベルガーの「アディダス」での経験から、ドロップ方式(数量限定の商品について事前に告知し、消費者の注目を集め、関心がピークになるタイミングで発売すること)も検討していくという。
ショーンベルガーは自身のチーム結成のために25人を新規に採用する予定で、自身はプロダクトデザインの統括とグローバルマーケティングやアートディレクションを手掛けるという。「毎シーズン、はっきりとしたメッセージを打ち出す。これは製品だけではなく、小売り、EC、キャンペーン、SNSなど全てにおよぶ」とショーンベルガーは話す。
ショーンベルガーによる初のコレクションは20年春に発表予定だが、彼のビジョンの一端を見ることができるカプセルコレクションを19年春に発表予定だ。デザインについてショーンベルガーは、一部テコ入れの必要性に言及したが、大規模な方向転換は予定していないという。「明らかな違いは実感してもらえるが、私はブルドーザーのように全てをひっくり返すタイプではない」。