青木明子がデザインするウィメンズブランド「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」が、10月15日に開幕する「アマゾン ファッション ウィーク東京」に先駆けて、2019年春夏のプレゼンテーションを行った。従来はランウエイショー形式で発表してきたが、「ショーとは違う、身近な環境の中で見せたかった」という青木が今回選んだ会場は、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルの一室。そこに滞在する、知的でセンシュアルな女性像を浮かびあがらせた。
部屋に足を踏み入れると、薄暗いリビングでモデルたちがソファに座っている。身に着けているのは、細かなドット柄のファブリックにギャザーを寄せて体のラインに沿わせたドレスや、中に合わせたブラトップがのぞくシアーなトップス。微動だにしないモデルの奥で、人影の映像が動く。続くベッドルームには、ランジェリードレスやパンプスが脱いだままに残され、花が飾られたバスルームには化粧品やピルケースが使いかけで並ぶ。
ウォークインクローゼットに並ぶ服は、メンズウエアを象徴するスーツやシャツをアレンジすることで、かえって女性らしさを強調するという青木らしいアプローチを生かしたドレスやトップス。1990年代のムードが漂う、薄地のスポーティーなトップスなどはブランドとして新鮮なアイテムだ。
「ホテルは不特定多数に向けた場所なのに、その日だけは私だけのものになる。(人に対して開かれた)フラットさと、プライベートな感覚が混在している点にひかれた」と青木。静かに座っているモデルたちの奥で人影が動くという対比は、かつて部屋に滞在していた誰かを想起させるものだ。
リアリティーの提案の一環として「どういった環境で人が服を着たいと思うのか」という背景までを見せることをこの間追求している。そうした考えから、前シーズンは観客の前でモデルたちが着替えていく変則的なショーを行った。今回のプレゼンテーションもその延長上にある。
今季から「アキラナカ(AKIRANAKA)」などの人気ブランドも扱うセールス・エージェントのハルミ ショールームに所属した。新規の卸先開拓に力を入れ、注目の新進ブランドという現状の立ち位置からの前進を目指す。