急成長を続けてきたTOKYO BASEに急ブレーキがかかっている。2018年3〜8月期決算は、売上高が前年同期比3.3%増の57億円、営業利益が同28.9%減の4億7100万円、経常利益が同28.4%減の4億7400万円、純利益が同29.4%減の3億2300万円と大幅な減益を強いられた。“東京発世界へ”を打ち出し、常識にとらわれない柔軟な発想で快進撃を続けてきた同社だが、主力事業「ステュディオス(STUDIOUS)」が昨年下期からの不振から抜け出せていない。谷正人・最高経営責任者(CEO)は、「昨年までは頭の中で海外が優先順位の上位にあった。下期からは国内事業にフルコミットしていく」と立て直しを急ぐ。
急ブレーキの最大の理由は「ステュディオス」の販売不振だ。傷口をふさぐべく仕入れを抑えた上、ネット通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」専用の低価格のオリジナル商品を廃止した結果、既存店売上高(オンラインも含む)は17.0%減と2ケタ割れに沈んだ。また、SPA(製造小売業)事業でもウイメンズのモードを打ち出していたオリジナルブランド「シティ(CITY)」は19.4%減になり、19年3月までにブランド休止を決めた。
立て直しの最大のキーマンが谷CEO本人だ。同社は昨年5月にセレクト業態「ステュディオス」、11月には独自ブランド「ユナイテッドトウキョウ(UNITED TOKYO)」を、香港のファッション系の路面店エリアでは最も重要なコーズウェイベイにオープン。谷CEOの指揮の下、香港発の世界的なセレクトショップチェーンのI.Tグループに真っ向から勝負を挑んだ。香港のI.Tでも日系のブランドを多く取り扱い、日本の「ステュディオス」の人気ブランドも、香港ではI.Tの限定扱いのブランドも少なくない。それでも「両店舗とも好調に推移しており、香港では現地スタッフも育ち、軌道に乗りつつある。中国本土のデベロッパーからの出店要請もあり、なるべく早く出店したい」(谷CEO)。
そうした中での国内事業の急ブレーキだが、谷CEOは「都心の一等地をターゲットにしている『ステュディオス』でも、渋谷、六本木、丸の内、銀座、心斎橋、神戸などまだまだ出店余地はある」「日本発のファッション・コングロマリットというミッションは引き続き変えていない。今後年商100億円企業のM&Aも検討している」と引き続き強気の姿勢を隠さない。
株価も中間決算を発表した翌日の10月12日には一時510円と最安値を更新したものの、悪い材料は出尽くしたという見方で、今日25日の終値は625円にまで回復している。