“商品のない店舗”で話題の韓国発アイウエア「ジェントルモンスター(GENTLE MONSTER)」から生まれた新スキンケアブランド「タンバリンズ(TAMBURINS)」をご存知だろうか。韓国ファッションが好きな女性にはすでにかなり知名度のあるブランドなのだが、実は「ジェントルモンスター」と比べて、さらにお店に“商品がない”のだ。
「タンバリンズ」は2017年9月に「ジェントルモンスター」のメンバーが中心となってスタートした。現在はジェントルモンスターの子会社で、メンバーもおよそ20人と規模は大きくない。店舗も直営店はカロスキル(「ジェントルモンスター」と同じ通り沿い)にあるだけで、その他ソウルの「ディエチコルソコモ(10 CORSO COMO)」とECサイト「29CM」で販売されているだけだ。
広報担当によれば、「代表が『ジェントルモンスター』で培ったブランディング力を発揮できる市場を考えた結果、化粧品という答えに行き着いた。韓国ではほとんどのコスメが使い心地といったプロダクト自体を打ち出しているので、“世界観のある化粧品ブランド”を作ることができると考えたそうだ」という。結果として出来上がった旗艦店では、製品1つを見せるために部屋を1つ作るほどのこだわりっぷり。「『ジェントルモンスター』とは違い、トレンドではなく製品に対して空間を作るので、毎年内装を一新するようなことはしない」。
もちろん、見せ方だけでなく、そもそもの商品自体にも強いこだわりがあると話す。ブランドとしてのラインアップを拡充することよりも、それぞれの商品に注力することを重視しているため、これまでハンドクリームを皮切りにフェイスクリーム、化粧水、そしてフレグランスという4アイテムしか発表をしていない。韓国では多くのコスメブランドがいくつかの有力な大手化学会社と製品開発をしているが、「タンバリンズ」ではロット数の関係などから小規模な研究所と商品開発を進めているそうだ。現在も複数の製品開発をしていて、今後はスキンケアセラムやフェイスマスクなどの発売を計画する。
「ジェントルモンスター」が店舗を宣伝のための場所ととらえていたように、「タンバリンズ」も店舗を顧客にとっての体験の場としてとらえている。店頭では1日1000万ウォン(約100万円)売れる日もあるというが、たった4アイテムのために1店舗(しかも2階建て)を使うというのは日本ではなかなか考えられない。まだ規模は小さいが、“世界観で見せるコスメ”は「ジェントルモンスター」のような世界的ブランドになることができるのか、今後に注目したいブランドだ。