イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)氏とその生涯のパートナーであったピエール・ベルジェ(Pierre Berge)氏が所有していたモロッコ・タンジェの別荘“ヴィラ・マブロカ(VILLA MABROUKA)”を、英デザイナーのジャスパー・コンラン(Jasper Conran)が購入することに、同ヴィラを管理するマジョレル庭園財団(FONDATION JARDIN MAJORELLE)が同意した。ジャスパーはテレンス・コンラン(Terence Conran)卿の次男にあたる。
マジョレル庭園財団をサンローラン氏と共に設立したベルジェ氏の遺志により、ヴィラの売却益は非営利団体である同財団の運営費などに使用される。同財団はマラケシュにあるイヴ・サンローラン美術館(YVES SAINT LAURENT MUSEUM)と隣接するマジョレル庭園、そして庭園内のベルベル美術館(BERBER MUSEUM)も管理している。
マディソン・コックス(Madison Cox)=マジョレル庭園財団会長は、「英国の著名なデザイナーであり、マラケシュに居住するコンラン氏であれば、豊かな文化遺産であるヴィラをしっかりと受け継ぎ、タンジェのさらなる発展に貢献してくれると確信している」と語った。ジャスパー・コンランは、マラケシュでブティックホテル「ロテル・マラケシュ(L’HOTEL MARRAKECH)」を運営している。ヴィラは1990年代にサンローラン氏とベルジェ氏が購入し、内装はインテリアデザイナーのジャック・グレンジ(Jacques Grange)が手掛けた。2018年に改装が完了したが、ベルジェ氏はそれを見ることなく17年に死去。その後、ベルジェ氏の後年の伴侶であり、ガーデンデザイナーであるコックス会長が庭に花や木を植えている。
なお、18年11月にベルジェ氏の個人的な遺品975点がパリのサザビーズ(SOTHEBY’S)でオークションにかけられ、落札額は合計で3130万ドル(約34億4300万円)に上った。