ユナイテッドアローズ(UA)の「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS以下、BY)」は2019年秋冬から新レーベル「ロエフ(LOEFF)」を立ち上げる。ディレクター兼デザイナーには、エイチ ビューティ&ユース(H BEAUTY&YOUTH)や「スティーブン アラン(STEVEN ALAN)」のデザインを手掛ける鈴木里香を起用した。初コレクションは、ビンテージのディテールを踏襲したウィメンズ70~80型。「いわゆる“オシャレ”というのではなく自分が自然でいられる服」と説明する鈴木の言葉とは裏腹に、無骨だがどこかフェミニンで玄人からも評判はいい。UA原宿店と六本木ヒルズ店を皮切りに取り扱いを開始し、他社のセレクトショップへの卸もスタート。20年春夏にはメンズも立ち上げ、ゆくゆくは単独店出店も視野に入れる。「ロエフ」の価格帯はBYオリジナルレーベルと比べると約2.5倍、UAオリジナルレーベルと比べても約2倍。素材、縫製、加工、仕上げ全てにこだわる新レーベルはどのように誕生したのか?
WWD:立ち上げの経緯は?
鈴木里香「ロエフ」デザイナー(以下、鈴木):洋服を作って20年近く経ちますが、たくさんの人の協力があってやっと一着が出来上がるということを痛感しながらやってきました。自分自身が40歳を超えて、これまでデザイナーズやトラディショナル、ビンテージなど色々な服装を経験してきた中で、40~50代になっても着続けたい服って何だろうという思いがあったんです。日本の工場の後継問題にも直面してきたので、どうにか今まで一緒にやってきた工場と一緒に後世に伝えていけるような服作りはできないだろうかと会社に打診しました。
WWD:コンセプトは?
鈴木:“年齢を重ねても大切に着たい日常着”です。実家が鉄工所ということもあり、ワークウエアを着て仕事をしている人が昔から一番美しく見えるんです。ワークウエアの良いところは行動に対してデザインされているところで、その良さを生かしながらデザインしています。ビンテージのディテールも参考にしていますが、ディテールをただ再現するのではなく、今の時代を意識しながらモディファイして作っています。私自身、メンズの洋服が幼い頃から好きで、メンズを着たマスキュリンな女性の美しさみたいなところに惹かれていました。工場もメンズを主体に手掛けている工場にお願いして縫っています。
WWD:どのような女性に着てほしい?
鈴木:肩肘張ってオシャレをしなくても、心地よかったりシャキッとしたかったり、そういう自分と同じような気持ちを求めているお客さまで、そういう人は必ずいると思っています。なるべくコーディネート要らずで、他の洋服と合わせやすい。すごく普通な服だけど素材やシルエットにこだわっている服を目指しました。
WWD:内見会でのデビューコレクションの反響は?
鈴木:「売れるモノ」と言うのを忘れて作ろうと思ったので正直不安もありましたが、バイヤーやスタイリストからは「かわいいでもかっこいいでもない、でもとにかく素敵ね」とか「これでこそUAね」と言ってもらえました。
WWD:20年春夏からはメンズもスタートするとのことだが。
鈴木:素材はウィメンズとメンズ共通で、メンズの方がよりそぎ落とされたデザインになっています。あくまで女性の視点から見たメンズウエアを提案したいと思っています。