ロクシタン インターナショナル(L’OCCITANE INTERNATIONAL)の2019年3月期決算は、売上高が前期比8.7%増の14億2687万ユーロ(約1726億円)、営業利益が同6.9%増の1億5074万ユーロ(約182億円)、純利益が同21.8%増の1億1756万ユーロ(約142億円)と増収増益だった。今までボディーやヘアケアのイメージが強かった「ロクシタン」のスキンケアブランドとしてのポジションを再確立させたこと、さらに英国のスパ・スキンケアブランド「エレミス(ELEMIS)」の買収など、グループ全体のスキンケアの強化などが奏功した。
「ロクシタン」は肌ダメージを夜にリセットする「イモーテル オーバーナイトリセットセラム」が今年度大ヒットして世界中で80万個を売り上げ、同ブランドのスキンケア製品では過去最高に売れた製品となった。今後は同製品をシリーズ化する予定で、フェイスマスクやアイセラムなどのスキンケアだけでなく、ヘアケアやボディーケアにもラインを拡充するという。これによりシアバターシリーズが好調な秋冬以外の期間でもしっかり売り上げを確保できる新たな製品シリーズを定着させる狙いだ。アンドレ・ホフマン(Andre Hoffman)=エグゼクティブディレクター兼バイスチェアマンは「グループ全体としてスキンケアビジネスを成長させたいと以前から思っていた。スキンケアは利益率が高く、さらに顧客からのロイヤルティーも高い製品なので、『エレミス』がポートフォリオに加わったことはロクシタンにとってさらなるパワーになるだろう」とコメントする。
さらにオムニチャネル戦略にも力を入れ、グローバルで直営店を17店増やして、年度末には1572店舗構えた。地域別では中国の売り上げが同6.9%増ともっとも成長率が高く、アリババ(ALIBABA)の独身の日や旧正月、国際女性デーで売り上げを大きく伸ばした。次いでブラジルが同5.9%増、ロシアが同5.4%増だった。18年に買収したメイクアップブランド「ライムライフ(LIMELIFE)」は北米で同18.2%増を記録し、ロシアでも既存店の売り上げを伸ばしたほか、中国では卸での販路を拡充させた。
今後はヨーロッパの店舗でウェブの注文を店舗からも出荷する“シップ フロム ストア”サービスを開始し、より効率的で低コストな配達を実践する。ホフマン=エグゼクティブディレクター兼バイスチェアマンは「今後はさらなるグローバルなビューティ市場の成長にさらに期待を込める。中でも中国でのビューティ市場のポテンシャルは間違いなく高い。また『エレミス』はデジタルに強いブランドで、eコマースも成功しており、グループ全体に貢献するだろう」と話す。なお、同社は「エレミス」の統合に集中するため、当分は他に買収の予定はないという。